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社長の税理士選び研究所

税理士選びで会社のキャッシュは変わる。小規模法人オーナーのための、失敗しない税理士選び・切り替えの情報を発信する研究所です。

【飲食・美容・建設・EC別】業種専門の税理士を選ぶべき理由

「税理士なんて、どこに頼んでも同じでしょ?」——こう思っている経営者の方に、正直に言います。それは、かなり危険な考え方です。

はじめまして。経営コンサルタントの三上 剛です。20年以上にわたって、年商3,000万〜1億円規模の中小企業・個人事業主の財務支援をしてきました。累計でいえば400社以上のお付き合いになります。

その経験の中で、何度も見てきたことがあります。「税理士を間違えたばかりに、余計なコストが発生している会社」の存在です。正直、私自身も若い頃に格安税理士を使って痛い思いをしたことがあります。会計処理のミスで余計な税金を納めることになり、後から気づいたときには手遅れでした。

業種専門の税理士かどうかは、決算書1枚の質に直結します。それがひいては資金調達の可否、節税の深さ、そして会社の体力そのものを左右するのです。今回は「飲食・美容・建設・EC」の4業種に絞って、業種専門税理士を選ぶ理由を具体的に解説します。

「業種専門税理士」とは何か?一般税理士との違い

業種専門税理士とは、特定の業界を主な顧問先として、その業界特有の税務・会計・経営課題に精通した税理士のことです。

一般的な税理士は、決算申告や確定申告を幅広く対応しますが、すべての業種に精通しているわけではありません。飲食店の原価計算と建設業の工事原価管理では、会計の考え方がまるで異なります。一つの税理士事務所がすべてを高品質に対応するのは、実は非常に難しい話です。

一般税理士に頼み続けるリスク

業種を問わず対応している一般的な税理士に依頼した場合、以下のようなリスクが生じやすくなります。

  • 業界特有の節税手法を知らず、払わなくていい税金を払ってしまう
  • 業界特有の会計処理の誤りにより、追徴課税やペナルティが発生する
  • 業界に合った資金調達の提案が受けられず、融資を逃す
  • 経営課題に対するアドバイスが的外れで、改善につながらない

顧問料はコストではなく投資です。安い税理士を選んで本来得られる節税を逃した場合、差し引きでかなりのマイナスになることは珍しくありません。

飲食業に強い税理士を選ぶべき理由

飲食店経営は、一見シンプルに見えて税務処理が非常に複雑な業種です。私がこれまで関わってきた飲食店の中でも、業種専門でない税理士を使っていたケースでは「気づけばもっと節税できた」という場面が何度もありました。

飲食業特有の税務課題

飲食業には、他の業種にはない複数の税務上のポイントがあります。

  • 軽減税率の処理:イートインとテイクアウトで税率が異なるため、売上の区分管理が必要
  • デリバリー手数料の仕訳:UberEatsや出前館などの配達手数料・キャッシュレス決済手数料の正しい処理
  • 原価率・人件費管理:店舗別の損益把握と原価管理のサポート
  • 資金調達:飲食店は廃業率が高い業種のひとつ。融資審査に通りやすい決算書の作成が重要

飲食業の顧問先を多数持つ税理士であれば、同業他社の経営データをもとに「この原価率は高すぎる」「この人件費の比率だと資金繰りが厳しくなる」といった具体的なアドバイスが受けられます。一般税理士には、このような業界横断の比較視点はありません。

また、飲食店は現金取引が多いため税務調査の対象になりやすい業種でもあります。日常的な帳簿管理と適切な税務処理のサポートを受けることで、税務調査リスクに備えることができます。

飲食業専門税理士に頼むことで変わること

飲食業に強い税理士に変更した大阪のある飲食店では、クラウド会計の導入・店舗別の正確な原価管理・店舗別損益把握の体制づくりをまとめてサポートしてもらえたケースがあります。以前の税理士は「決算申告のみ」の関わり方だったそうです。税理士を変えただけで、経営の「見える化」が一気に進んだのです。

美容業に強い税理士を選ぶべき理由

美容室・ネイルサロン・エステなどの美容業は、「技術者の独立」が多い業界です。ゆえに、税務よりも技術面に意識が向きがちで、経理や節税まで手が回らない経営者が少なくありません。

美容業特有の税務課題

美容業を経営する上で、特に注意が必要な税務ポイントをまとめます。

  • 雇用形態の区分:正社員・アルバイト・業務委託(面貸し・シェアサロン)が混在する場合の税務処理の違い
  • 消費税の課税判断:売上1,000万円超で課税事業者になるタイミングと対応
  • 開業融資の対応:日本政策金融公庫などへの融資申請に強い税理士かどうか
  • 労務トラブルの連携:「練習時間の残業代請求」など労務問題が増えており、社労士との連携が重要

美容業は掛売りや手形取引がないため、他業種と比べると帳簿作業自体はシンプルな面もあります。しかし、その分「業界未経験の税理士でも対応できる」と思われがちで、実際には節税の余地を見逃されてしまうケースもあります。

東京商工リサーチの調査によると、2024年1月〜11月の美容室の倒産件数は107件と、過去最多水準に近い数字でした。市場競争が激しい美容業界だからこそ、税務・資金面でプロのサポートを受けることが生き残りのカギになります。

美容業専門税理士のメリット

美容業に特化した税理士に依頼することで、以下のメリットが得られます。

  • 業界標準の原価率・人件費比率を把握したアドバイスが受けられる
  • 美容室の節税対策(設備投資の減価償却、福利厚生費の活用など)に精通している
  • 開業融資の実績が豊富で、事業計画書作成のサポートが手厚い
  • 社労士や行政書士との連携体制が整っており、労務トラブルにも対応できる

建設業に強い税理士を選ぶべき理由

建設業は、4業種の中でも「業種専門税理士の必要性が最も高い業種」と私は感じています。会計処理の複雑さが段違いだからです。

建設業特有の税務課題

建設業には「建設業会計」という特有の会計処理が存在します。

  • 未成工事支出金:工事中の資材費や外注費は、工事が完成するまで「未成工事支出金」として処理する必要がある
  • 工事進行基準・完成基準の判断:収益を認識するタイミングを誤ると利益計上がズレ、税務リスクが生じる
  • 外注費と給与の区分:一人親方への支払いが外注費か給与かの判断が、消費税・所得税の処理に影響する
  • 建設業許可の取得・更新:500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が必須(行政書士業務が絡む)
  • 経営事項審査(経審):公共工事を受注するための審査で、会計処理の内容が点数に直結する

建設業特有の経理に不慣れな税理士を選んだことで、追加納税が発生したりペナルティを受けたというケースは業界内で珍しくありません。

建設業専門税理士に求めるポイント

建設業に強い税理士を選ぶ際には、以下の点を確認することをおすすめします。

  • 建設業会計(未成工事支出金・工事台帳など)に精通しているか
  • 建設業許可に対応できる行政書士との連携体制があるか
  • 資金繰りの改善提案・融資支援の実績があるか
  • 経営事項審査(経審)のスコアアップに関する知識があるか

国土交通省が進める「建設業の働き方改革」の影響で、2024年以降は時間外労働の上限規制が建設業にも本格適用されました。労務面の対応も含めて、社労士・行政書士と連携できる税理士事務所を選ぶことが、今後ますます重要になっています。国土交通省が策定した建設業働き方改革加速化プログラムも参照しておくと、今後の経営判断の参考になるでしょう。

EC・通販業に強い税理士を選ぶべき理由

Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングといったプラットフォームの普及により、EC事業者数は急速に増えています。しかし、「ネットショップならではの税務」に対応できる税理士は、まだまだ少ないのが現状です。

EC業特有の税務課題

EC・通販事業には、リアル店舗とは異なる特有の税務課題があります。

  • 複数プラットフォームの売上管理:Amazon・楽天・自社サイトなど、複数の売上を正確に合算する必要がある
  • 在庫管理と棚卸評価:在庫の評価方法(最終仕入原価法など)の選択が利益に直結する
  • 消費税の処理:海外からの仕入れ(輸入消費税)・海外への販売(輸出免税)の処理
  • プラットフォーム手数料の仕訳:Amazonの手数料・広告費・FBA費用などの正確な処理
  • インボイス制度への対応:2023年10月に始まったインボイス制度で、仕入れ先の登録番号管理が必要

特にEC事業は在庫を多く抱える特性上、「資金は出ているのに利益に見えない」という資金繰りの問題が起きやすい業種です。EC事業の資金繰りを熟知した税理士であれば、在庫回転率の改善提案や融資のタイミングアドバイスなど、財務面からのサポートが受けられます。

EC専門税理士を見つけるコツ

EC専門税理士を探す際は、以下の点を確認すると外れが少なくなります。

  • Amazon・楽天など主要プラットフォームの会計処理経験があるか
  • freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトに対応しているか
  • 越境EC(海外向け販売)の消費税処理に対応できるか
  • オンラインでのやり取りに慣れており、レスポンスが速いか

EC事業は「取引量が多いが1件あたりの単価が小さい」という特性があるため、クラウド会計を活用した効率的な経理体制の構築も重要です。消費税の申告方法(原則課税・簡易課税・2割特例)の選択も、仕入れ比率によって大きく変わるため、EC業に詳しい税理士のアドバイスが欠かせません。

なお、国税庁のウェブサイトでは、インボイス制度の概要と対応方法を公開しており、EC事業者の方は一度確認しておくことをおすすめします。

業種専門税理士を選ぶときのチェックリスト

最後に、業種専門税理士を選ぶ際の実践的なチェックポイントをまとめます。初回相談の前に、ぜひ確認してみてください。

チェックポイント確認方法
自社と同じ業種の顧問先が複数あるかホームページの実績・無料相談で確認
業界特有の税務課題に具体的に答えられるか初回相談で質問する
行政書士・社労士などとの連携体制があるか事務所案内や紹介で確認
クラウド会計(freee・マネーフォワード等)に対応しているか対応ソフトを事前に確認
資金調達(融資)の支援実績があるか実績件数・金額を確認
レスポンスが速く、相談しやすい雰囲気か初回の問い合わせ対応で判断
料金体系が明確で追加費用が発生しにくいか見積もりで内訳を確認

「顧問料が安い」だけで税理士を選ぶのは、実は最もコストが高くつく選択です。顧問料の差よりも、業種専門知識による節税効果・融資通過率の差の方が、会社の数字に大きく影響します。

まとめ

飲食・美容・建設・ECは、それぞれ全く異なる税務課題を抱えています。同じ「税理士」という職業であっても、業種専門かどうかで提供できる価値は大きく異なります。

この記事のポイントを振り返ります。

  • 飲食業は軽減税率・デリバリー手数料・原価管理など複雑な税務処理が多い
  • 美容業は雇用形態の多様化・消費税判断・開業融資が重要課題
  • 建設業は建設業会計(未成工事支出金)・建設業許可・経審への対応が必須
  • EC業は複数プラットフォームの収益管理・在庫評価・インボイス対応が求められる

税理士選びは「近所にある」「料金が安い」だけで決める時代ではありません。あなたの業種を深く理解し、現場のリアルを知った税理士をパートナーにしてください。顧問料は必ず元を取れる投資になるはずです。

本記事が税理士選びの参考になれば幸いです。疑問や不安があれば、まずは無料相談を活用してみましょう。

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