「顧問税理士に融資の相談をしたら、話がかみ合わなかった」
こんな経験、ありませんか?私はこれまで400社以上の中小企業の財務・融資支援に携わってきた経営コンサルタントの三上剛といいます。20年以上、現場を見てきてはっきり断言できることがあります。融資の成否は、税理士選びで半分以上が決まります。
ところが多くの経営者は、「税理士なんてどこでも同じだろう」と思い込んでいます。私自身、過去に格安の税理士と契約して会計処理のミスで余計なコストを負った苦い経験があります。その後、融資に強い税理士に切り替えたとき、銀行との交渉がまったく別物になりました。
この記事では、融資・銀行対策を本気で任せたい経営者のために、「融資に強い税理士」の特徴と見分け方を具体的にお伝えします。初回相談でそのまま使える質問リストも用意しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「税理士ならどこでも同じ」は危険な思い込み
税理士は税務のプロ。融資のプロではない
税理士の本来の業務は、税務申告の作成や税務調査の対応です。確定申告や法人税申告書をしっかり仕上げてくれる税理士は多いですが、「融資に強いかどうか」はまったく別の話です。
税理士にはそれぞれ得意分野があります。相続・事業承継に強い税理士、法人税に詳しい税理士、不動産に精通した税理士……融資・資金調達を専門に扱う税理士は、その中のひとつのカテゴリに過ぎません。
銀行が融資審査で見るのは、決算書の数字だけではありません。事業計画の実現性、経営者のビジョン、資金繰りの安定性、財務体質のトレンド……これらをすべて「銀行が好む形」で準備するには、融資実務の知識と経験が必要です。税務の専門家であっても、この視点を持っていない税理士は少なくないのが現実です。
節税と融資は「真逆の方向」を向いている
これが最大の落とし穴です。
節税の観点から言えば、利益は少ないほうがいい。税金を減らすために、できるだけ経費を計上し、利益を圧縮するのが節税の基本です。
ところが、銀行融資の審査では、利益が大きいほど高評価になります。銀行は特に「経常利益」と「営業利益」を重視します。利益が小さい=返済能力が低いと判断されるからです。
つまり、節税一辺倒で動く税理士に任せていると、決算書の見栄えが悪くなり、融資が通りにくくなる。あるいは、融資を受けられたとしても金利が高くなる。こういうケースを、私はこれまで何十社も見てきました。
融資と節税は、どちらか一方で解決できる問題ではありません。融資を見据えた「財務戦略」の視点を持った税理士でなければ、銀行対策は任せられないのです。
融資に強い税理士の5つの特徴
特徴①融資実績を数字で示せる
「融資に強い」と自称する税理士は多いですが、重要なのは具体的な数字です。
- 過去の融資支援件数(年間・累計)
- 融資成功率(何割が審査通過しているか)
- 支援した融資の平均調達額
これらを明確に答えられる税理士は信頼できます。「たくさん実績があります」という曖昧な答えでは判断できません。同程度の規模・業種の会社での支援実績があるか、もあわせて確認しましょう。
特徴②「経営革新等支援機関」の認定を持っている
経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的な知識・実務経験が一定レベル以上あると、国(中小企業庁)から認定を受けた機関のことです。税理士や公認会計士が個人として認定されているケースも多くあります。
この認定を受けた税理士に依頼すると、いくつかのメリットがあります。
- 通常より有利な条件で日本政策金融公庫の融資を受けられる可能性がある
- ものづくり補助金・事業再構築補助金などの支援が受けやすくなる
- 経営改善計画策定支援など、融資後の伴走サポートも活用できる
認定支援機関かどうかは、中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システムで誰でも無料で調べることができます。候補の税理士が出てきたら、必ず検索して確認しておきましょう。
特徴③銀行目線で決算書を作れる
ここが最も重要なポイントかもしれません。同じ会計処理でも、どこに何を計上するかによって、銀行の評価は大きく変わります。
たとえば、特別償却費や役員退職金の処理。これらを「販売費および一般管理費」に計上すると、営業利益・経常利益がそのぶん下がります。一方、「特別損失」として処理すれば、営業利益・経常利益には影響しません。最終的な税額は変わらないのに、銀行の評価は大きく変わるのです。
銀行は融資審査において、過去3期分の決算書を横断的に分析します。特にチェックされるのは以下の指標です。
| チェックポイント | 銀行が見ていること |
|---|---|
| 経常利益の推移(3期分) | 本業+財務活動での収益力・安定性 |
| 自己資本(純資産)の状況 | 債務超過になっていないか |
| 売掛金の回収状況 | 不良債権が混入していないか |
| 現預金残高 | 帳簿と実態が一致しているか |
| 減価償却の適正処理 | 実態の収益力を正確に反映しているか |
これらを把握したうえで、「銀行に好まれる決算書」を戦略的に設計できる税理士を選ぶことが大切です。
特徴④金融機関とのパイプを持っている
融資に強い税理士は、多くの企業の融資支援を通じて、さまざまな金融機関との人脈を持っています。
銀行担当者は2〜3年ごとに異動になることがほとんどです。こうした流動的な環境の中でも、税理士が日ごろから銀行との関係を維持することで、いざ融資の相談が入ったときにスムーズに動いてもらいやすくなります。
また、飛び込みで銀行の窓口に行くより、取引のある税理士からの紹介で臨む方が、担当者も安心して話を進めてくれます。「税理士経由で来た先生の顧問先」というだけで、第一印象が変わるのです。
元銀行員のスタッフが在籍している税理士事務所は、特に期待できます。金融機関の内部審査の視点を知っているため、「審査担当者にどう映るか」を意識した提案ができるからです。
特徴⑤事業計画書の作成・面談同席まで対応してくれる
融資審査は、書類を提出して終わりではありません。日本政策金融公庫をはじめ多くの金融機関では、面談(ヒアリング)が必ず実施されます。
融資に強い税理士は、以下のサポートをトータルで提供してくれます。
- 審査を意識した事業計画書・創業計画書の作成
- 金融機関への同席(必要に応じた代理交渉も)
- 面談に備えた想定問答・事前シミュレーション
- 融資実行後の資金繰り計画・返済計画のサポート
「書類作成だけ」「申し込みだけ」で終わる税理士と、融資実行までフルサポートしてくれる税理士では、成功率が大きく変わります。初回相談で、どこまでサポートしてくれるかを必ず確認しましょう。
初回相談で必ず確認すべき7つの質問
「良い税理士を選ぶ」と言っても、どう見極めればよいか分からない、という声は多いです。そこで私がおすすめしているのが、初回相談をスクリーニングとして使うことです。
以下の質問を実際にぶつけてみてください。答え方で、その税理士の実力がかなり透けて見えます。
- 直近1年間で、融資支援を何件手がけましたか?
- 融資成功率はどのくらいですか?
- 経営革新等支援機関の認定は受けていますか?
- 金融機関との面談に同席してもらえますか?
- 事業計画書の作成もサポートしてもらえますか?
- 融資を意識した決算書の見せ方について、具体的にどんな工夫をしていますか?
- 費用体系はどうなっていますか?(成功報酬型か、定額か)
重要なのは、「はい・いいえ」ではなく、具体的に答えてくれるかどうかです。実績数字をすらすら言える税理士、過去の事例を話せる税理士は、それだけ現場経験が豊富な証拠です。
「融資に弱い税理士」の危険なサイン
融資に強い税理士を選ぶ一方で、避けるべき「融資に弱い税理士」のサインも知っておきましょう。
以下にあてはまる場合は要注意です。
- 融資の話をすると「それは銀行に直接相談してください」と言う
- 決算書を「節税」の観点だけで作っており、銀行への見せ方を考えていない
- 試算表を毎月提供してくれない(タイムリーな財務把握ができない)
- 「融資の実績は?」と聞いても、件数や成功率を答えられない
- 資金繰り表や事業計画書の作成経験がほとんどない
- 経営革新等支援機関の認定を受けていない
なかでも特に気をつけてほしいのが、「節税と融資の両立」を意識していない税理士です。利益を過度に圧縮した決算書は、短期的には節税になっても、融資審査では評価を下げます。融資を断られたり、希望額を大幅に下回る結果になったりと、長期的にみれば会社のキャッシュを傷つけることにもなりかねません。
顧問税理士が変わると、引き継ぎや関係構築に時間がかかります。だからこそ、最初の選択がとても重要です。
費用の目安と料金体系の種類
融資支援を税理士に依頼する際の費用は、事務所によって異なります。主な料金体系は以下の3パターンです。
| 料金体系 | 概要 | 相場 |
|---|---|---|
| 成功報酬型 | 融資が実行された金額に応じて報酬が発生 | 融資額の2〜5% |
| 定額制 | サポート一式に対して定額を支払う | 5万〜15万円程度 |
| 顧問契約込み | 月次顧問契約の中に融資支援が含まれる | 顧問料に含まれるケースが多い |
成功報酬型は、融資が通らなかった場合には費用が発生しないため、初めて依頼する経営者にとってリスクが低い選択肢です。ただし、融資額が大きくなるほど報酬も大きくなるため、事前に上限額を確認しておくことをおすすめします。
定額制は費用の見通しが立てやすいメリットがありますが、成功・失敗にかかわらず費用が発生します。
どの体系が自社に合っているかは、融資規模や状況によって異なります。初回相談の段階で料金体系を明確に説明してくれる税理士は、それだけ誠実な対応をしてくれる可能性が高いです。
なお、融資先となる日本政策金融公庫の最新の金利情報は、日本政策金融公庫の公式サイトで確認できます。2025年以降、日銀の利上げの影響で金利は若干上昇傾向にありますが、それでも民間の金融機関に比べれば低水準が続いています。融資を検討する際は、最新の金利を確認した上で、税理士と返済計画を相談するようにしてください。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- 税理士には得意・不得意があり、「融資に強い税理士」を選ばないと銀行対策は手薄になる
- 節税と融資は方向性が真逆。融資を見据えた財務戦略を持てる税理士が必要
- 融資に強い税理士の5つの特徴は、①実績の数字②経営革新等支援機関の認定③銀行目線の決算書作成④金融機関とのパイプ⑤事業計画書・面談サポート
- 初回相談では、実績件数・成功率・サポート範囲・費用体系を具体的に確認する
- 「節税一辺倒」「試算表の提供なし」「融資実績ゼロ」は要注意のサイン
税理士は「近所だから」「知人の紹介だから」で選ぶ時代は終わっています。会社のキャッシュを守り、成長のための資金を確保するためには、融資を見据えた財務パートナーを選ぶことが経営者の重要な仕事です。
まずは無料相談を活用して、複数の税理士と話してみることをおすすめします。相性の良い税理士との出会いが、会社の資金力を大きく変えてくれるはずです。