【飲食・美容・建設・EC別】業種専門の税理士を選ぶべき理由
「税理士なんて、どこに頼んでも同じでしょ?」——こう思っている経営者の方に、正直に言います。それは、かなり危険な考え方です。
はじめまして。経営コンサルタントの三上 剛です。20年以上にわたって、年商3,000万〜1億円規模の中小企業・個人事業主の財務支援をしてきました。累計でいえば400社以上のお付き合いになります。
その経験の中で、何度も見てきたことがあります。「税理士を間違えたばかりに、余計なコストが発生している会社」の存在です。正直、私自身も若い頃に格安税理士を使って痛い思いをしたことがあります。会計処理のミスで余計な税金を納めることになり、後から気づいたときには手遅れでした。
業種専門の税理士かどうかは、決算書1枚の質に直結します。それがひいては資金調達の可否、節税の深さ、そして会社の体力そのものを左右するのです。今回は「飲食・美容・建設・EC」の4業種に絞って、業種専門税理士を選ぶ理由を具体的に解説します。
「業種専門税理士」とは何か?一般税理士との違い
業種専門税理士とは、特定の業界を主な顧問先として、その業界特有の税務・会計・経営課題に精通した税理士のことです。
一般的な税理士は、決算申告や確定申告を幅広く対応しますが、すべての業種に精通しているわけではありません。飲食店の原価計算と建設業の工事原価管理では、会計の考え方がまるで異なります。一つの税理士事務所がすべてを高品質に対応するのは、実は非常に難しい話です。
一般税理士に頼み続けるリスク
業種を問わず対応している一般的な税理士に依頼した場合、以下のようなリスクが生じやすくなります。
- 業界特有の節税手法を知らず、払わなくていい税金を払ってしまう
- 業界特有の会計処理の誤りにより、追徴課税やペナルティが発生する
- 業界に合った資金調達の提案が受けられず、融資を逃す
- 経営課題に対するアドバイスが的外れで、改善につながらない
顧問料はコストではなく投資です。安い税理士を選んで本来得られる節税を逃した場合、差し引きでかなりのマイナスになることは珍しくありません。
飲食業に強い税理士を選ぶべき理由
飲食店経営は、一見シンプルに見えて税務処理が非常に複雑な業種です。私がこれまで関わってきた飲食店の中でも、業種専門でない税理士を使っていたケースでは「気づけばもっと節税できた」という場面が何度もありました。
飲食業特有の税務課題
飲食業には、他の業種にはない複数の税務上のポイントがあります。
- 軽減税率の処理:イートインとテイクアウトで税率が異なるため、売上の区分管理が必要
- デリバリー手数料の仕訳:UberEatsや出前館などの配達手数料・キャッシュレス決済手数料の正しい処理
- 原価率・人件費管理:店舗別の損益把握と原価管理のサポート
- 資金調達:飲食店は廃業率が高い業種のひとつ。融資審査に通りやすい決算書の作成が重要
飲食業の顧問先を多数持つ税理士であれば、同業他社の経営データをもとに「この原価率は高すぎる」「この人件費の比率だと資金繰りが厳しくなる」といった具体的なアドバイスが受けられます。一般税理士には、このような業界横断の比較視点はありません。
また、飲食店は現金取引が多いため税務調査の対象になりやすい業種でもあります。日常的な帳簿管理と適切な税務処理のサポートを受けることで、税務調査リスクに備えることができます。
飲食業専門税理士に頼むことで変わること
飲食業に強い税理士に変更した大阪のある飲食店では、クラウド会計の導入・店舗別の正確な原価管理・店舗別損益把握の体制づくりをまとめてサポートしてもらえたケースがあります。以前の税理士は「決算申告のみ」の関わり方だったそうです。税理士を変えただけで、経営の「見える化」が一気に進んだのです。
美容業に強い税理士を選ぶべき理由
美容室・ネイルサロン・エステなどの美容業は、「技術者の独立」が多い業界です。ゆえに、税務よりも技術面に意識が向きがちで、経理や節税まで手が回らない経営者が少なくありません。
美容業特有の税務課題
美容業を経営する上で、特に注意が必要な税務ポイントをまとめます。
- 雇用形態の区分:正社員・アルバイト・業務委託(面貸し・シェアサロン)が混在する場合の税務処理の違い
- 消費税の課税判断:売上1,000万円超で課税事業者になるタイミングと対応
- 開業融資の対応:日本政策金融公庫などへの融資申請に強い税理士かどうか
- 労務トラブルの連携:「練習時間の残業代請求」など労務問題が増えており、社労士との連携が重要
美容業は掛売りや手形取引がないため、他業種と比べると帳簿作業自体はシンプルな面もあります。しかし、その分「業界未経験の税理士でも対応できる」と思われがちで、実際には節税の余地を見逃されてしまうケースもあります。
東京商工リサーチの調査によると、2024年1月〜11月の美容室の倒産件数は107件と、過去最多水準に近い数字でした。市場競争が激しい美容業界だからこそ、税務・資金面でプロのサポートを受けることが生き残りのカギになります。
美容業専門税理士のメリット
美容業に特化した税理士に依頼することで、以下のメリットが得られます。
- 業界標準の原価率・人件費比率を把握したアドバイスが受けられる
- 美容室の節税対策(設備投資の減価償却、福利厚生費の活用など)に精通している
- 開業融資の実績が豊富で、事業計画書作成のサポートが手厚い
- 社労士や行政書士との連携体制が整っており、労務トラブルにも対応できる
建設業に強い税理士を選ぶべき理由
建設業は、4業種の中でも「業種専門税理士の必要性が最も高い業種」と私は感じています。会計処理の複雑さが段違いだからです。
建設業特有の税務課題
建設業には「建設業会計」という特有の会計処理が存在します。
- 未成工事支出金:工事中の資材費や外注費は、工事が完成するまで「未成工事支出金」として処理する必要がある
- 工事進行基準・完成基準の判断:収益を認識するタイミングを誤ると利益計上がズレ、税務リスクが生じる
- 外注費と給与の区分:一人親方への支払いが外注費か給与かの判断が、消費税・所得税の処理に影響する
- 建設業許可の取得・更新:500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が必須(行政書士業務が絡む)
- 経営事項審査(経審):公共工事を受注するための審査で、会計処理の内容が点数に直結する
建設業特有の経理に不慣れな税理士を選んだことで、追加納税が発生したりペナルティを受けたというケースは業界内で珍しくありません。
建設業専門税理士に求めるポイント
建設業に強い税理士を選ぶ際には、以下の点を確認することをおすすめします。
- 建設業会計(未成工事支出金・工事台帳など)に精通しているか
- 建設業許可に対応できる行政書士との連携体制があるか
- 資金繰りの改善提案・融資支援の実績があるか
- 経営事項審査(経審)のスコアアップに関する知識があるか
国土交通省が進める「建設業の働き方改革」の影響で、2024年以降は時間外労働の上限規制が建設業にも本格適用されました。労務面の対応も含めて、社労士・行政書士と連携できる税理士事務所を選ぶことが、今後ますます重要になっています。国土交通省が策定した建設業働き方改革加速化プログラムも参照しておくと、今後の経営判断の参考になるでしょう。
EC・通販業に強い税理士を選ぶべき理由
Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングといったプラットフォームの普及により、EC事業者数は急速に増えています。しかし、「ネットショップならではの税務」に対応できる税理士は、まだまだ少ないのが現状です。
EC業特有の税務課題
EC・通販事業には、リアル店舗とは異なる特有の税務課題があります。
- 複数プラットフォームの売上管理:Amazon・楽天・自社サイトなど、複数の売上を正確に合算する必要がある
- 在庫管理と棚卸評価:在庫の評価方法(最終仕入原価法など)の選択が利益に直結する
- 消費税の処理:海外からの仕入れ(輸入消費税)・海外への販売(輸出免税)の処理
- プラットフォーム手数料の仕訳:Amazonの手数料・広告費・FBA費用などの正確な処理
- インボイス制度への対応:2023年10月に始まったインボイス制度で、仕入れ先の登録番号管理が必要
特にEC事業は在庫を多く抱える特性上、「資金は出ているのに利益に見えない」という資金繰りの問題が起きやすい業種です。EC事業の資金繰りを熟知した税理士であれば、在庫回転率の改善提案や融資のタイミングアドバイスなど、財務面からのサポートが受けられます。
EC専門税理士を見つけるコツ
EC専門税理士を探す際は、以下の点を確認すると外れが少なくなります。
- Amazon・楽天など主要プラットフォームの会計処理経験があるか
- freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトに対応しているか
- 越境EC(海外向け販売)の消費税処理に対応できるか
- オンラインでのやり取りに慣れており、レスポンスが速いか
EC事業は「取引量が多いが1件あたりの単価が小さい」という特性があるため、クラウド会計を活用した効率的な経理体制の構築も重要です。消費税の申告方法(原則課税・簡易課税・2割特例)の選択も、仕入れ比率によって大きく変わるため、EC業に詳しい税理士のアドバイスが欠かせません。
なお、国税庁のウェブサイトでは、インボイス制度の概要と対応方法を公開しており、EC事業者の方は一度確認しておくことをおすすめします。
業種専門税理士を選ぶときのチェックリスト
最後に、業種専門税理士を選ぶ際の実践的なチェックポイントをまとめます。初回相談の前に、ぜひ確認してみてください。
| チェックポイント | 確認方法 |
|---|---|
| 自社と同じ業種の顧問先が複数あるか | ホームページの実績・無料相談で確認 |
| 業界特有の税務課題に具体的に答えられるか | 初回相談で質問する |
| 行政書士・社労士などとの連携体制があるか | 事務所案内や紹介で確認 |
| クラウド会計(freee・マネーフォワード等)に対応しているか | 対応ソフトを事前に確認 |
| 資金調達(融資)の支援実績があるか | 実績件数・金額を確認 |
| レスポンスが速く、相談しやすい雰囲気か | 初回の問い合わせ対応で判断 |
| 料金体系が明確で追加費用が発生しにくいか | 見積もりで内訳を確認 |
「顧問料が安い」だけで税理士を選ぶのは、実は最もコストが高くつく選択です。顧問料の差よりも、業種専門知識による節税効果・融資通過率の差の方が、会社の数字に大きく影響します。
まとめ
飲食・美容・建設・ECは、それぞれ全く異なる税務課題を抱えています。同じ「税理士」という職業であっても、業種専門かどうかで提供できる価値は大きく異なります。
この記事のポイントを振り返ります。
- 飲食業は軽減税率・デリバリー手数料・原価管理など複雑な税務処理が多い
- 美容業は雇用形態の多様化・消費税判断・開業融資が重要課題
- 建設業は建設業会計(未成工事支出金)・建設業許可・経審への対応が必須
- EC業は複数プラットフォームの収益管理・在庫評価・インボイス対応が求められる
税理士選びは「近所にある」「料金が安い」だけで決める時代ではありません。あなたの業種を深く理解し、現場のリアルを知った税理士をパートナーにしてください。顧問料は必ず元を取れる投資になるはずです。
本記事が税理士選びの参考になれば幸いです。疑問や不安があれば、まずは無料相談を活用してみましょう。
融資に強い税理士の見分け方【銀行対策を任せるなら絶対確認】
「顧問税理士に融資の相談をしたら、話がかみ合わなかった」
こんな経験、ありませんか?私はこれまで400社以上の中小企業の財務・融資支援に携わってきた経営コンサルタントの三上剛といいます。20年以上、現場を見てきてはっきり断言できることがあります。融資の成否は、税理士選びで半分以上が決まります。
ところが多くの経営者は、「税理士なんてどこでも同じだろう」と思い込んでいます。私自身、過去に格安の税理士と契約して会計処理のミスで余計なコストを負った苦い経験があります。その後、融資に強い税理士に切り替えたとき、銀行との交渉がまったく別物になりました。
この記事では、融資・銀行対策を本気で任せたい経営者のために、「融資に強い税理士」の特徴と見分け方を具体的にお伝えします。初回相談でそのまま使える質問リストも用意しましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「税理士ならどこでも同じ」は危険な思い込み
税理士は税務のプロ。融資のプロではない
税理士の本来の業務は、税務申告の作成や税務調査の対応です。確定申告や法人税申告書をしっかり仕上げてくれる税理士は多いですが、「融資に強いかどうか」はまったく別の話です。
税理士にはそれぞれ得意分野があります。相続・事業承継に強い税理士、法人税に詳しい税理士、不動産に精通した税理士……融資・資金調達を専門に扱う税理士は、その中のひとつのカテゴリに過ぎません。
銀行が融資審査で見るのは、決算書の数字だけではありません。事業計画の実現性、経営者のビジョン、資金繰りの安定性、財務体質のトレンド……これらをすべて「銀行が好む形」で準備するには、融資実務の知識と経験が必要です。税務の専門家であっても、この視点を持っていない税理士は少なくないのが現実です。
節税と融資は「真逆の方向」を向いている
これが最大の落とし穴です。
節税の観点から言えば、利益は少ないほうがいい。税金を減らすために、できるだけ経費を計上し、利益を圧縮するのが節税の基本です。
ところが、銀行融資の審査では、利益が大きいほど高評価になります。銀行は特に「経常利益」と「営業利益」を重視します。利益が小さい=返済能力が低いと判断されるからです。
つまり、節税一辺倒で動く税理士に任せていると、決算書の見栄えが悪くなり、融資が通りにくくなる。あるいは、融資を受けられたとしても金利が高くなる。こういうケースを、私はこれまで何十社も見てきました。
融資と節税は、どちらか一方で解決できる問題ではありません。融資を見据えた「財務戦略」の視点を持った税理士でなければ、銀行対策は任せられないのです。
融資に強い税理士の5つの特徴
特徴①融資実績を数字で示せる
「融資に強い」と自称する税理士は多いですが、重要なのは具体的な数字です。
- 過去の融資支援件数(年間・累計)
- 融資成功率(何割が審査通過しているか)
- 支援した融資の平均調達額
これらを明確に答えられる税理士は信頼できます。「たくさん実績があります」という曖昧な答えでは判断できません。同程度の規模・業種の会社での支援実績があるか、もあわせて確認しましょう。
特徴②「経営革新等支援機関」の認定を持っている
経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的な知識・実務経験が一定レベル以上あると、国(中小企業庁)から認定を受けた機関のことです。税理士や公認会計士が個人として認定されているケースも多くあります。
この認定を受けた税理士に依頼すると、いくつかのメリットがあります。
- 通常より有利な条件で日本政策金融公庫の融資を受けられる可能性がある
- ものづくり補助金・事業再構築補助金などの支援が受けやすくなる
- 経営改善計画策定支援など、融資後の伴走サポートも活用できる
認定支援機関かどうかは、中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システムで誰でも無料で調べることができます。候補の税理士が出てきたら、必ず検索して確認しておきましょう。
特徴③銀行目線で決算書を作れる
ここが最も重要なポイントかもしれません。同じ会計処理でも、どこに何を計上するかによって、銀行の評価は大きく変わります。
たとえば、特別償却費や役員退職金の処理。これらを「販売費および一般管理費」に計上すると、営業利益・経常利益がそのぶん下がります。一方、「特別損失」として処理すれば、営業利益・経常利益には影響しません。最終的な税額は変わらないのに、銀行の評価は大きく変わるのです。
銀行は融資審査において、過去3期分の決算書を横断的に分析します。特にチェックされるのは以下の指標です。
| チェックポイント | 銀行が見ていること |
|---|---|
| 経常利益の推移(3期分) | 本業+財務活動での収益力・安定性 |
| 自己資本(純資産)の状況 | 債務超過になっていないか |
| 売掛金の回収状況 | 不良債権が混入していないか |
| 現預金残高 | 帳簿と実態が一致しているか |
| 減価償却の適正処理 | 実態の収益力を正確に反映しているか |
これらを把握したうえで、「銀行に好まれる決算書」を戦略的に設計できる税理士を選ぶことが大切です。
特徴④金融機関とのパイプを持っている
融資に強い税理士は、多くの企業の融資支援を通じて、さまざまな金融機関との人脈を持っています。
銀行担当者は2〜3年ごとに異動になることがほとんどです。こうした流動的な環境の中でも、税理士が日ごろから銀行との関係を維持することで、いざ融資の相談が入ったときにスムーズに動いてもらいやすくなります。
また、飛び込みで銀行の窓口に行くより、取引のある税理士からの紹介で臨む方が、担当者も安心して話を進めてくれます。「税理士経由で来た先生の顧問先」というだけで、第一印象が変わるのです。
元銀行員のスタッフが在籍している税理士事務所は、特に期待できます。金融機関の内部審査の視点を知っているため、「審査担当者にどう映るか」を意識した提案ができるからです。
特徴⑤事業計画書の作成・面談同席まで対応してくれる
融資審査は、書類を提出して終わりではありません。日本政策金融公庫をはじめ多くの金融機関では、面談(ヒアリング)が必ず実施されます。
融資に強い税理士は、以下のサポートをトータルで提供してくれます。
- 審査を意識した事業計画書・創業計画書の作成
- 金融機関への同席(必要に応じた代理交渉も)
- 面談に備えた想定問答・事前シミュレーション
- 融資実行後の資金繰り計画・返済計画のサポート
「書類作成だけ」「申し込みだけ」で終わる税理士と、融資実行までフルサポートしてくれる税理士では、成功率が大きく変わります。初回相談で、どこまでサポートしてくれるかを必ず確認しましょう。
初回相談で必ず確認すべき7つの質問
「良い税理士を選ぶ」と言っても、どう見極めればよいか分からない、という声は多いです。そこで私がおすすめしているのが、初回相談をスクリーニングとして使うことです。
以下の質問を実際にぶつけてみてください。答え方で、その税理士の実力がかなり透けて見えます。
- 直近1年間で、融資支援を何件手がけましたか?
- 融資成功率はどのくらいですか?
- 経営革新等支援機関の認定は受けていますか?
- 金融機関との面談に同席してもらえますか?
- 事業計画書の作成もサポートしてもらえますか?
- 融資を意識した決算書の見せ方について、具体的にどんな工夫をしていますか?
- 費用体系はどうなっていますか?(成功報酬型か、定額か)
重要なのは、「はい・いいえ」ではなく、具体的に答えてくれるかどうかです。実績数字をすらすら言える税理士、過去の事例を話せる税理士は、それだけ現場経験が豊富な証拠です。
「融資に弱い税理士」の危険なサイン
融資に強い税理士を選ぶ一方で、避けるべき「融資に弱い税理士」のサインも知っておきましょう。
以下にあてはまる場合は要注意です。
- 融資の話をすると「それは銀行に直接相談してください」と言う
- 決算書を「節税」の観点だけで作っており、銀行への見せ方を考えていない
- 試算表を毎月提供してくれない(タイムリーな財務把握ができない)
- 「融資の実績は?」と聞いても、件数や成功率を答えられない
- 資金繰り表や事業計画書の作成経験がほとんどない
- 経営革新等支援機関の認定を受けていない
なかでも特に気をつけてほしいのが、「節税と融資の両立」を意識していない税理士です。利益を過度に圧縮した決算書は、短期的には節税になっても、融資審査では評価を下げます。融資を断られたり、希望額を大幅に下回る結果になったりと、長期的にみれば会社のキャッシュを傷つけることにもなりかねません。
顧問税理士が変わると、引き継ぎや関係構築に時間がかかります。だからこそ、最初の選択がとても重要です。
費用の目安と料金体系の種類
融資支援を税理士に依頼する際の費用は、事務所によって異なります。主な料金体系は以下の3パターンです。
| 料金体系 | 概要 | 相場 |
|---|---|---|
| 成功報酬型 | 融資が実行された金額に応じて報酬が発生 | 融資額の2〜5% |
| 定額制 | サポート一式に対して定額を支払う | 5万〜15万円程度 |
| 顧問契約込み | 月次顧問契約の中に融資支援が含まれる | 顧問料に含まれるケースが多い |
成功報酬型は、融資が通らなかった場合には費用が発生しないため、初めて依頼する経営者にとってリスクが低い選択肢です。ただし、融資額が大きくなるほど報酬も大きくなるため、事前に上限額を確認しておくことをおすすめします。
定額制は費用の見通しが立てやすいメリットがありますが、成功・失敗にかかわらず費用が発生します。
どの体系が自社に合っているかは、融資規模や状況によって異なります。初回相談の段階で料金体系を明確に説明してくれる税理士は、それだけ誠実な対応をしてくれる可能性が高いです。
なお、融資先となる日本政策金融公庫の最新の金利情報は、日本政策金融公庫の公式サイトで確認できます。2025年以降、日銀の利上げの影響で金利は若干上昇傾向にありますが、それでも民間の金融機関に比べれば低水準が続いています。融資を検討する際は、最新の金利を確認した上で、税理士と返済計画を相談するようにしてください。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- 税理士には得意・不得意があり、「融資に強い税理士」を選ばないと銀行対策は手薄になる
- 節税と融資は方向性が真逆。融資を見据えた財務戦略を持てる税理士が必要
- 融資に強い税理士の5つの特徴は、①実績の数字②経営革新等支援機関の認定③銀行目線の決算書作成④金融機関とのパイプ⑤事業計画書・面談サポート
- 初回相談では、実績件数・成功率・サポート範囲・費用体系を具体的に確認する
- 「節税一辺倒」「試算表の提供なし」「融資実績ゼロ」は要注意のサイン
税理士は「近所だから」「知人の紹介だから」で選ぶ時代は終わっています。会社のキャッシュを守り、成長のための資金を確保するためには、融資を見据えた財務パートナーを選ぶことが経営者の重要な仕事です。
まずは無料相談を活用して、複数の税理士と話してみることをおすすめします。相性の良い税理士との出会いが、会社の資金力を大きく変えてくれるはずです。
今の税理士を変えたほうがいい「危険なサイン」7つ
「なんとなく今の税理士、頼りないんだよな……」
こういう感覚、持ったことはありませんか?でも「長年お世話になってるし」「変えるのも面倒だし」と、ずるずると関係を続けてしまっている経営者の方、意外と多いんです。
私は三上剛といいます。これまで20年以上、年商3,000万〜1億円規模の小規模法人を中心に、経営改善・融資支援・財務体制の構築をお手伝いしてきました。これまで累計400社以上の経営者と向き合ってきた中で、「税理士の質が会社のキャッシュを左右する」という現実を、何度も目の当たりにしてきました。
正直に言います。私自身も、かつて格安の税理士と契約して痛い目を見た経験があります。会計処理のミスが重なり、余計なコストが発生してしまった。その経験があるからこそ、「今の税理士で本当に大丈夫か?」という視点の重要性を身をもって理解しています。
この記事では、「今すぐ税理士を変えることを検討すべき危険なサイン7つ」をお伝えします。1つでも当てはまるものがあれば、一度立ち止まって考えてみてください。あなたの会社の未来が、かかっているかもしれません。
サイン1:連絡しても返信が数日こない
「質問のメールを送ったのに、3日経っても返信がない」
こういう経験、ありませんか?これは、かなり深刻なサインです。
私が関わってきた経営者の中にも、税務署から問い合わせが届いたのに顧問税理士に連絡が取れず、数日間ひとりで抱え込んでしまったという方がいました。そのストレスと不安は、想像以上のものだったと聞いています。
税理士の業務には明確な繁忙期があります。年末調整が始まる12月から、個人の確定申告が集中する2〜3月、そして3月決算の申告が重なる5月まで──この半年間は、どの事務所もフル回転で動いています。この時期にレスポンスが多少遅れることは、ある程度やむを得ない面もあります。
ただし、繁忙期以外でも返信に何日もかかる、催促しないと動かない、という状態は完全にアウトです。良い税理士であれば、すぐに答えられない内容でも「確認して○日までにご連絡します」とひとこと返してくれます。それすらないなら、あなたは優先度の低い顧客として扱われている可能性があります。
融資の相談や事業判断など、税理士の意見が必要な場面は日々あります。回答が1週間来ないだけで、ビジネスチャンスを逃したり、銀行融資の実行が遅れたりすることも起きます。スピード感のない税理士は、成長を目指す企業のブレーキになってしまうのです。
目安となる返信スピード
- 緊急の税務相談:当日〜翌営業日以内
- 通常の質問・確認事項:1〜2営業日以内
- 繁忙期中:「いつまでに回答します」という中間連絡があること
サイン2:担当者が無資格のスタッフで、税理士本人が出てこない
「契約は税理士と結んだのに、いつも来るのは事務所の若いスタッフ。税理士本人とは、最初の面談のとき以来会ったことがない」
これも、要注意のパターンです。
会計事務所では、無資格のスタッフが多く働いています。税理士補助として記帳代行や書類整理などをサポートする役割は、業務として問題ありません。問題なのは、その無資格スタッフが実質的に「担当者」として全ての対応をしていて、税理士本人が出てこない状況です。
税理士にしかできない業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)は法律で定められています。そこに有資格者が関与していない状態は、サービスの質として根本的に問題があります。
私が支援した会社でも、入社1年目の無資格スタッフが「担当」として毎月対応していたケースがありました。その方なりに一生懸命やっていたのですが、少し込み入った節税相談になると「確認しておきます」と持ち帰るだけで、結局的確な回答が返ってくることはありませんでした。
確認すべきポイントは、「税理士本人が自社の業況を把握しているか」です。少なくとも決算期には税理士本人が関与し、経営者と直接話す機会があるかどうか——これは最低限のラインだと考えてください。
サイン3:節税の提案がまったくない
「毎年、決算が終わったら申告書が届く。それだけ」
こんな関係が続いているなら、それは税理士ではなく「申告書作成代行業者」と契約しているに過ぎません。
節税の提案は、決算直前にできるものではありません。決算の3〜6ヶ月前から計画的に動く必要があります。設備投資のタイミング、役員報酬の設定、各種の税制優遇措置の活用……これらはすべて、事前の準備があってこそ機能するものです。
私が知っている会社では、決算期直前に「今年は利益が出すぎているから何か対策できませんか?」と税理士に相談したところ、「もう時期的に遅いですね」と言われた、というケースがありました。事前に月次で数字を把握し、適切なタイミングで提案してくれる税理士なら、こんなことにはならないはずです。
以下の表は、積極的な税理士と消極的な税理士の違いをまとめたものです。
| 比較項目 | 積極的な税理士 | 消極的な税理士 |
|---|---|---|
| 節税提案のタイミング | 期中〜決算3ヶ月前 | 決算直前か、ほぼなし |
| 接触頻度 | 月1回程度の報告・相談 | 決算時のみ |
| 情報提供 | 税制改正情報を先回り提供 | こちらから聞かないと教えない |
| 経営数字の把握 | リアルタイムで把握 | 決算後にしか数字を見ない |
顧問料をコストではなく「投資」として考えたとき、毎年の節税額がその投資額を上回ってこそ意味があります。節税提案がない税理士は、その投資に見合うリターンをもたらしていない、ということになります。
具体的な節税策として、小規模企業共済・経営セーフティ共済への加入、役員報酬の適切な設定、減価償却の方法の選択など、経営者にとってすぐに使えるものがいくつもあります。「毎年こういった提案を受けているか?」を一度振り返ってみてください。
サイン4:試算表(月次の経営数字)が遅い、または提供されない
「銀行に融資の相談に行きたいから試算表を送ってほしいと頼んだのに、1週間以上待たされた」
試算表とは、月々の収益・費用・利益を集計した月次決算のようなものです。これが手元に届くのが遅い、あるいはそもそも提供されていないというのは、経営判断において致命的な問題になります。
経営者が「今、自社がどういう状態にあるか」をリアルタイムで把握できていない状態は、計器を見ずに飛行機を操縦しているようなものです。数字が遅れてしか来ないと、資金ショートの予兆を見逃したり、黒字倒産のリスクを見誤ったりする危険があります。
一般的に、試算表は前月分が翌月中旬〜下旬頃に届くのが目安とされています。それが翌々月にずれ込むようであれば、経営判断に支障が出ます。
また、試算表を渡すだけで何の説明もない、というのも問題です。数字の意味を一緒に読み解き、「今月はここが課題ですね」と伝えてくれる税理士かどうか、確認してみてください。
クラウド会計の普及により、優良な税務事務所ではリアルタイムに近いかたちで経営数字を共有できるようになっています。「試算表は翌月末頃にしか出てこない」という状況が長年続いているなら、それ自体がひとつの危険信号と考えてよいでしょう。
サイン5:税務調査で頼りにならない(税務署寄りの対応をする)
税務調査は、ほとんどの経営者にとって人生で数回しか経験しない緊張のシーンです。そこで顧問税理士が本当に「あなたの味方」として動いてくれるかどうか——これが試される瞬間でもあります。
実際の税務調査の場では、税務調査官と税理士の間で、追徴課税の範囲をめぐる真剣な交渉が行われます。過少申告加算税(追加納税額の10〜15%)で済むのか、それとも重加算税(同35〜40%)まで課されてしまうのか——その差は、税理士がどれだけ経営者側に立って交渉できるかにかかっています。
ところが、中には「調査が早く終わればいい」という姿勢で、調査官の言うことをほぼそのまま受け入れてしまう税理士もいます。「先生のいう通りです」ばかりで、納税者の立場から反論や交渉をしてくれないのであれば、その税理士を顧問に置く意味は薄いと言わざるを得ません。
事前に過去の税務調査でどのような対応をしてきたか、聞いてみることも一つの方法です。「税務調査の立ち合い実績が豊富です」と明言している事務所は、それだけ交渉力に自信があることの表れでもあります。
税務調査での「よい税理士」の動き方
- 調査前に経営者と十分に打ち合わせを行う
- 実地調査の場で経営者の立場を守る発言をする
- 調査官の指摘に対して、反論すべきは反論する
- 調査後も結果について丁寧に説明してくれる
税務調査に不安を感じている方は、国税庁の税務調査に関する情報も参考になります。
サイン6:税制改正の情報が来ない
日本の税制は毎年改正されます。インボイス制度、電子帳簿保存法、各種の控除の見直し……これらは「知っているかどうか」で、数十万円単位の差が生まれることもあります。
良い税理士は、税制改正の情報をただ伝えるだけでなく、「御社にはこういう影響があります。今のうちにこう準備しておきましょう」と先回りして動いてくれます。
一方、改正情報を全くシェアしてこない、あるいは「そういえばそんな改正がありましたね」とあとから知らされるだけ、という税理士は危険信号です。
税理士にとって最新の税務知識を維持することは、基本中の基本です。日本税理士会連合会では研修制度や情報共有の仕組みがありますが、それを活用して積極的に知識をアップデートしているかどうかは、税理士によって大きな差があります。
情報感度が低い税理士と付き合っていると、あなたが本来使えたはずの税制上の特典を取りこぼし続けることになります。これは目に見えない損失ですが、積み重なると相当な金額になります。
2025〜2026年に注目すべき主な税務トピック
- 電子帳簿保存法の適用拡大と実務対応
- インボイス制度定着後の経過措置の終了に向けた動き
- 賃上げ促進税制の要件と活用方法
- 中小企業投資促進税制・経営強化税制の動向
これらについて、今の税理士が積極的に情報提供してくれているか、一度確認してみてください。
サイン7:経営相談・融資の相談に乗ってくれない
「設備投資を検討しているので、融資の相談に乗ってほしい」と税理士に言ったら、「それは銀行に直接聞いてください」と言われた——こういう経験を持つ経営者は、思いのほか多いです。
税理士の本来の価値は、申告書を作ることにあるのではありません。経営者のパートナーとして、財務データをもとに経営上のアドバイスをすること。融資を受けるための財務体制の整備、資金繰りの改善提案、新規事業立ち上げ時のシミュレーション——こういったことに一緒に取り組んでくれる税理士こそ、本当の意味での「顧問」です。
特に融資については、試算表や決算書の内容が銀行にどう見られるかを熟知している税理士かどうかで、融資の可否や融資条件に大きな差が出ることがあります。「融資支援が得意」と明示している税務事務所を選ぶのも一つの判断基準です。
以下のような相談を持ちかけたとき、前向きに動いてくれる税理士かどうかも、重要なチェックポイントです。
- 金融機関への融資申込みに向けた書類の整備・サポート
- 新規事業の採算シミュレーション
- 会社の成長ステージに合わせた経営体制の提案
- M&A・事業承継に関する初期相談
「税務のことしかやらない」という税理士が悪いわけではありませんが、それ以上を期待していた場合のミスマッチは、早めに解消するのが得策です。
当てはまったら、すぐ変えるべきか
ここまで7つのサインをお伝えしてきましたが、「全部当てはまる!今すぐ変えよう!」と焦らなくていいですよ、ということも申し添えておきます。
税理士の変更には、適切なタイミングがあります。一般的に、税理士を変えるのに最もよいタイミングは法人税の申告書を提出した直後です。決算の3ヶ月前から申告書の提出までは、引き継ぎが難しくなるため避けるべきとされています。
また、現在税務調査が進行中の場合も、調査が終わり修正申告書を提出してからの変更をおすすめします。
変更を検討するうえでのステップをまとめると、次のようになります。
- まずは今の税理士に不満をきちんと伝えてみる
- それでも改善がなければ、新しい税理士の候補探しを始める
- 少なくとも2〜3社と面談し、比較検討する
- 決算のタイミングを見計らって切り替える
「お世話になっているから言いにくい」という気持ちはよくわかります。でも、遠慮して損をするのはあなたの会社です。税理士はあなたのビジネスパートナーであって、義理で続けるべき関係ではありません。
まとめ
今の税理士を変えたほうがいい「危険なサイン」7つを振り返ります。
- レスポンスが遅く、数日経っても返信がこない
- 無資格スタッフばかりが対応し、税理士本人が出てこない
- 節税提案がなく、決算書を作るだけの関係になっている
- 試算表の提供が遅い、または経営数字の説明がない
- 税務調査で頼りにならず、税務署寄りの対応をする
- 税制改正の情報が届かず、知識の更新がない
- 経営相談・融資相談に乗ってくれない
1つでも当てはまるものがあれば、「今の関係を続けることが本当に会社のためになっているか」を一度立ち止まって考えてみてください。
私自身、20年以上この仕事を続ける中で、「税理士を変えたことで会社が劇的に改善した」という事例を数多く見てきました。一方で、「もっと早く変えておけば良かった」と後悔する経営者にも出会ってきました。
顧問料は「コスト」ではなく「投資」です。質の高い税理士は、必ず元が取れます。この記事が、あなたの税理士選びを見直すきっかけになれば幸いです。
地元の税理士より都市圏の税理士を選ぶべき5つの理由
「うちの税理士、なんとなく物足りないけど、地元の先生だから変えづらいんだよな……」
そう思いながら、もう何年も同じ税理士と付き合い続けている経営者の方、案外多いんじゃないでしょうか。私自身、20年以上にわたって中小企業の経営支援に携わってきた中で、そういったケースを何度も目にしてきました。
はじめまして。経営コンサルタントの三上 剛です。累計400社以上の中小企業の財務・経営改善をサポートしてきた経験を持ち、現在は税理士選びに関する情報発信にも力を入れています。
実は私自身も、かつて格安の地元税理士と契約して痛い目を見た経験があります。会計処理のミスが原因で、本来払わなくてよかった税金が発生してしまい、余計なコストを負担するはめになりました。その経験と、支援先企業で繰り返し見てきた現実から、私はいまこう確信しています。
「税理士は近所で選ぶ時代は、もう終わった」
今回は、私の現場経験と最新データをもとに、地元の税理士より都市圏の税理士を選ぶべき5つの理由をお伝えします。「近くの税理士でいいや」と漠然と思っていた方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
まず押さえておきたい「地元税理士」の現実
結論からいえば、地元の税理士が必ずしも悪いわけではありません。誠実で実力のある先生も当然います。ただ、「近いから」「知り合いの紹介だから」という理由だけで選んでしまうと、知らないうちに損をしているケースが多い。これが現実です。
地方や地元エリアに限定して税理士を探す場合、最大の問題は選択肢の少なさです。都市部では多数の税理士が競い合っているのに対し、地方では選べる税理士の数が限られているため、比較検討がしにくい。
さらに、地方の税理士事務所はIT化が遅れているケースも少なくありません。クラウド会計ソフトに対応していなかったり、オンラインでの打ち合わせに慣れていなかったりすると、経営者側の業務効率にも直接影響してきます。
これらの背景を踏まえたうえで、都市圏の税理士を選ぶべき理由を見ていきましょう。
理由1:専門性の高さと実績の厚みが圧倒的に違う
都市圏には「業種・テーマの専門家」が揃っている
税理士といっても、得意分野はさまざまです。飲食業、建設業、IT企業、医療法人……業種ごとの会計処理や税務上の特性は大きく異なります。また、事業承継、資金調達、国際税務、スタートアップ支援など、特定のテーマに深く精通した税理士も存在します。
こうした「専門特化型」の税理士は、ほぼ都市圏に集中しています。東京・大阪・名古屋などの都市圏には競合が多く、生き残るために各事務所が得意分野を磨いているからです。
一方、地方の税理士は個人事業主から法人まで幅広く担当する「ジェネラリスト型」が多い傾向にあります。幅広く対応できる分、特定分野の深い専門性という点では都市圏の税理士に劣ることがあります。
案件数の多さが「引き出しの数」を生む
都市圏の税理士は、単純に扱う案件数が多い。多くのクライアントと向き合う中で、さまざまなケースへの対処法が蓄積されていきます。「こういうケースではこの手が使える」という引き出しの数は、経験値に比例します。
私が支援してきた企業の中にも、都市圏の税理士に変えた途端、それまで提案すらされなかった節税策や補助金の活用法を教えてもらえた、という経営者が何人もいます。顧問料を払っているのに、情報を引き出せていなかった——それは、税理士選びの問題でした。
理由2:IT対応力が高く、経理業務の生産性が上がる
クラウド会計への対応で、業務効率が劇的に変わる
2025年現在、中小企業の経理・会計業務において、freee会計やマネーフォワード クラウド会計といったクラウド会計ソフトは実質的な標準ツールになりつつあります。銀行口座やクレジットカードの明細を自動取込みし、仕訳を大幅に自動化できるため、経理の工数を大幅に削減できます。
都市圏の税理士は、こうしたクラウド会計ツールへの対応が進んでいます。税理士と経営者がリアルタイムで同じデータを共有できるため、月次の数字を素早く把握して経営判断に活かせる体制が整います。
問題は、地方の税理士事務所にはクラウド会計に対応していないところがまだ残っているということ。担当者が来るまで手書きの帳簿を待ち続ける……というのは、もはや時代遅れのやり方です。経理のIT化を進める上でも、税理士の対応力は重要な選定基準になります。
IT対応が進んだ税理士との契約で得られるメリット
- 月次の財務状況がリアルタイムで確認できる
- 領収書・通帳コピーなどの書類をデータ共有で完結できる
- 記帳業務の工数が大幅に削減され、本業に集中できる
- 決算前に手を打てるようになり、節税の機会を逃さない
特に年商3,000万〜1億円規模の会社にとっては、月次データを迅速に把握して手を打てるかどうかが、資金繰りや利益確保に直結します。ここでの「税理士との連携スピード」は、経営の質そのものに関わってきます。
理由3:オンライン対応の普及で「距離」はもはやデメリットではない
コロナ禍以降、オンライン顧問は”当たり前”になった
「遠くの税理士は、何かあったときに困るんじゃないか」——これは、かつてはもっともな懸念でした。しかし今は違います。
ZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールが普及し、対面と変わらない質で相談ができるようになりました。書類のやり取りもメールやクラウドストレージで即時対応できます。電子申告が標準化された現在、税理士が毎月自社を訪問する必要性は、かなり低下しています。
実際、クラウド会計を活用した完全オンライン顧問サービスは、月額1万円〜3万円程度の低コストで受けられるものも登場しています。一方、訪問型のサービスは月額5万〜10万円程度が相場であり、コスト差は明確です。
税務調査はどうなる?
「でも税務調査のときは来てもらわないといけないでしょ?」と聞かれることがあります。確かに、調査当日は税理士の立ち合いが必要です。ただ、オンライン顧問の税理士でも、調査当日だけ現地に来る対応は一般的に行われています。日常的な訪問がなくても、いざというときの対応は変わらない——この点はご安心いただいて大丈夫です。
また、税務調査は毎年発生するものではありません。数年に一度の対応のために、日常のサービスクオリティを妥協するのは、本末転倒といえます。
「地元の先生だから安心」という心理的な罠
地元の税理士には、「顔見知りだから頼みやすい」というメリットがあります。ただし、この親しみやすさが、逆にデメリットになることもあります。
プライベートで付き合いのある税理士に会社の財務内容をすべて見せることへの抵抗感。また、地域コミュニティの結びつきが強い場合、税理士との関係を切りたくても切れない、という状況に陥りやすい。こうした心理的な縛りが、税理士変更の障壁になっているケースを、私は何度も見てきました。
理由4:情報の新鮮さと提案力が段違い
税制は毎年変わる。最新情報をキャッチできているか?
税法は毎年改正されます。節税策も、使えるものと使えなくなるものが入れ替わっていきます。知っている人だけが得をして、知らない人が損をする——それが税務の世界の現実です。
都市圏の税理士、とくに大手法人や専門特化型の事務所では、税制改正への対応が早く、情報のアップデートが常に行われています。セミナーや勉強会も活発で、業界の最新動向が自然と入ってくる環境があります。
地方の小規模事務所では、情報収集の機会が相対的に少なく、最新の節税策や補助金情報が届くのが遅れることがあります。「あの補助金、申請できたのに知らなかった」という話を、私の支援先でも耳にしてきました。
補助金・助成金の活用提案ができるかどうか
補助金・助成金に積極的に取り組んでくれる税理士かどうかは、経営者にとって非常に重要な判断ポイントです。ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金……これらを活用できるかどうかで、数十万〜数百万円の資金調達機会が変わってきます。
ところが、補助金活用を積極的に提案してくれる税理士は、実はそれほど多くありません。都市圏の競争環境にある税理士事務所ほど、差別化のためにこうした付加価値サービスに力を入れる傾向があります。
以下の表に、都市圏税理士と地元税理士の提案力の差をまとめました。
| 比較項目 | 都市圏の税理士 | 地元の税理士 |
|---|---|---|
| 税制改正への対応スピード | 早い | やや遅れることがある |
| 補助金・助成金の情報提供 | 積極的な事務所が多い | 受け身のことがある |
| 節税策の提案頻度 | 定期的に提案あり | 求めないと動きが少ない |
| 専門特化エリアの対応 | 業種・テーマ別の専門家がいる | ジェネラリスト型が多い |
| 他士業との連携体制 | 弁護士・社労士等との連携が充実 | 限られることがある |
理由5:競争環境が「質」と「価格競争力」を生む
競合が多いほど、サービスの質は上がる
都市圏では税理士の数が多く、クライアント獲得をめぐる競争が激しい。日本税理士会連合会のデータによれば、2024年度の税理士登録者数は8万1,696人と過去最多を記録しています。とくに都市部では競争が飽和に近い状態になっており、サービスの質と価格で差別化しなければ生き残れない環境があります。
この競争環境が、経営者にとっての追い風になります。選ばれるために努力する税理士が増えるということは、クライアント側のサービス水準が上がるということだからです。
一方、地方では税理士の数が少ないため、競争が起きにくい。「この地域の経営者はここに頼むしかない」という状況では、税理士のサービス改善へのインセンティブが低下しやすい側面があります。
料金体系の透明性
都市圏のオンライン対応税理士が増えた結果、顧問料の相場感も以前より明確になってきました。目安として、以下のような料金レンジが一般的です。
| 契約形態 | 月額顧問料の目安 |
|---|---|
| オンライン相談のみ(チャット・メール中心) | 1万〜3万円程度 |
| 月1回のオンラインミーティングあり | 2万〜5万円程度 |
| 月1回の訪問あり | 5万〜10万円程度 |
| 年1回の決算申告のみ(スポット) | 売上規模により変動 |
※決算申告料は月額顧問料の4〜6ヶ月分が相場です。
オンライン対応の税理士は、移動コストが発生しない分、サービス料金も抑えやすくなっています。「都市圏の税理士は高い」というイメージがありますが、オンライン顧問に絞れば、地元の訪問型税理士と同等かそれ以下のコストで契約できるケースも多いです。
ただし、「安さだけで選ぶ」のは禁物です。月額顧問料が安くても、年末調整や税務調査の立ち合いが別料金になっているケースもあります。見積もりの際には、月額顧問料に何が含まれているかを必ず確認してください。
地元の税理士を選ぶべきケースも、正直に伝えます
ここまで都市圏の税理士を推してきましたが、地元の税理士が適しているケースも確かにあります。
- 地元の金融機関(地銀・信金)との関係を活かした融資を検討している
- 地域独自の税制優遇や助成金を最大限に活用したい
- 会社の財務状況を定期的に対面で細かく確認したい
- 相続や不動産など、地元の土地勘が重要な案件がある
こうした場合は、地元のネットワークを持つ税理士に強みがあります。何でも「都市圏がいい」という話ではなく、自社の状況とニーズに合わせて判断することが大切です。
また、「都市圏だから良い」わけでも、「地元だから悪い」わけでもありません。重要なのは、税理士としての実力・専門性・提案力、そして料金体系の透明性です。
国税庁が公表している税理士制度の概要や、日本税理士会連合会の情報も参考にしながら、税理士選びの基準を整理しておくことをおすすめします。また、複数の税理士に見積もりを取れる比較サービスを活用するのも、客観的に判断するうえで有効な方法です。弥生の「税理士紹介ナビ」のようなサービスでは、業種や規模に合った税理士を紹介してもらえます。
都市圏の税理士に変えるときの注意点
最後に、実際に税理士を変える際の注意点もお伝えしておきます。
- 変更のタイミングは決算後が基本。期中の変更は書類の引き継ぎが複雑になるため、できれば事業年度の終わりのタイミングを狙いましょう。
- 複数の税理士に話を聞く。最低でも2〜3事務所に無料相談してみて、対応力・提案力・相性を見極めてください。
- 見積もりの内訳を必ず確認する。月額顧問料・決算料・オプション費用が何かをチェックし、年間トータルで比較しましょう。
- クラウド会計への対応可否を確認する。自社で使っているソフト(freee、マネーフォワードなど)に対応しているかを事前に確認することが重要です。
- 過去の担当税理士への通知。税理士の変更を伝える際のマナーや書類の引き継ぎについても、事前に確認しておくとスムーズです。
まとめ
今回は、地元の税理士より都市圏の税理士を選ぶべき5つの理由をお伝えしました。改めて整理しておきます。
- 専門性の高さと実績の厚みが違う——業種・テーマ別の専門家が都市圏に集中している
- IT対応力が高く、経理業務の生産性が上がる——クラウド会計の活用でリアルタイムな財務把握が可能に
- オンライン対応の普及で、距離はもはやデメリットではない——ビデオ会議・電子申告が標準化した今、遠方の税理士でも実用的
- 情報の新鮮さと提案力が段違い——税制改正・補助金情報への対応スピードに差がある
- 競争環境がサービスの質と価格競争力を生む——都市圏の競争環境が、クライアントへの恩恵につながっている
「顧問料はコストではなく投資」というのが、私の持論です。質の高い税理士に適切な報酬を払うことで、節税・資金調達・経営判断の精度が上がり、結果として会社に返ってくるものは大きい。
一方で、長年の付き合いや近さへの安心感から、税理士を変えることに踏み切れないでいる経営者も多いと思います。「変えるべきかどうか」を一人で抱え込まず、まずはセカンドオピニオン的に都市圏の税理士に無料相談してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
税理士選びで損をしないための情報を、これからも発信していきます。一緒に、賢い経営の選択をしていきましょう。
税理士の選び方で失敗しないために知っておくべき5つのポイント
「先代から付き合いがあるから」「事務所が近所だから」「とにかく安い顧問料だから」——そういった理由だけで税理士を選び、後悔している経営者の方を、私はこれまで本当にたくさん見てきました。
はじめまして、三上 剛と申します。大学卒業後から20年以上、年商3,000万〜1億円規模の中小企業・個人事業主の経営改善・融資支援・財務体制の構築をサポートしてきた経営コンサルタントです。これまでの支援社数は累計400社以上。その現場で何度も目の当たりにしてきたのが、「税理士の質が会社のキャッシュを直接左右する」という現実です。
実は私自身も過去に格安の税理士事務所と契約して痛い目を見た経験があります。会計処理のミスが積み重なり、余計なコストと時間が発生してしまいました。その経験があるからこそ、今は税理士選びの重要性を強く感じています。
この記事では、税理士選びで失敗しないために知っておくべき5つのポイントをお伝えします。「今の税理士に漠然と不満がある」「これから初めて税理士を探す」という経営者の方に、ぜひ参考にしていただければと思います。
なぜ税理士選びで「失敗」するのか
まず知っておいていただきたいのは、多くの中小企業が税理士選びをほとんど真剣に検討していない、という現実です。
「顧問税理士実態大調査2024」(船井総合研究所・税理士セレクション)のデータによると、税理士を一度も変更したことがない企業は全体の約50%にのぼります。「長年の付き合いがあるから」「特に大きな問題がないから」という理由で、同じ税理士と惰性で契約を続けているケースが非常に多いのです。
一方で、売上が伸びている成長企業と売上が減少している企業を比べると、成長企業のほうが「税理士を変更したことがある」と回答した割合が多く、さらに定期的な打ち合わせの頻度も高い傾向にあります。これは偶然ではないと思います。
では、税理士選びでよくある失敗パターンはどのようなものでしょうか。現場で見てきた代表的なものを整理するとこのようになります。
- 安さだけで選んで、必要なサービスが受けられなかった
- 紹介や口コミだけを信じて、自社の業種・規模に合わない税理士を選んだ
- 顧問料の内訳を確認せず、後から追加料金が発生した
- 連絡してもレスポンスが遅く、経営判断に支障をきたした
- 節税提案や融資支援をしてもらえず、機会損失が生じた
こういった失敗を避けるために、これから5つのポイントを一つひとつ見ていきましょう。
ポイント1:「顧問料の安さ」だけで選ばない
まず最初に断言しておきます。顧問料の安さだけを基準に税理士を選ぶのは、失敗への一番の近道です。
私自身がそれで痛い目を見ましたし、支援先の経営者からも「安い税理士を選んで後悔した」という話を数え切れないほど聞いてきました。ただ、かといって「高ければいい」というわけでもありません。大切なのは、「払う費用に見合ったサービスが受けられるか」です。
顧問料の相場を知っておく
まずは相場感を頭に入れておきましょう。税理士への報酬は大きく「月額顧問料」「決算申告料」「オプション費用(記帳代行・給与計算など)」の3つで構成されます。
| 区分 | 月額顧問料の目安 | 決算申告料の目安 |
|---|---|---|
| 法人(年商1,000万円未満) | 2万〜3万円程度 | 月額顧問料の4〜6ヶ月分 |
| 法人(年商3,000万〜1億円) | 3万〜5万円程度 | 同上 |
| 法人(年商1億円超) | 5万〜10万円程度 | 同上 |
| 個人事業主 | 1万〜3万円程度 | 10万〜20万円程度 |
※上記はあくまで一般的な目安です。訪問回数・業務範囲・地域によって大きく変動します。
また、記帳代行を依頼する場合は月額1万〜3万円程度、給与計算を含めると月額4万〜5万円程度が追加でかかることも覚えておいてください。
安さ重視が招く「サービス不足」と「隠れコスト」
月額顧問料が1万〜2万円程度の格安プランの場合、基本的には「最低限の税務申告業務だけ」になることが多いです。毎月の面談、財務・資金繰りのアドバイス、積極的な節税提案——これらは「含まれていない」と考えた方がいいでしょう。
さらに厄介なのが「追加料金」の問題です。税務調査の立会い、融資相談、給与計算といった業務が別料金に設定されているケースは珍しくありません。契約前に確認していなかった結果、「思っていたより費用がかかった」というトラブルは非常によく起きています。
顧問料は「コスト」ではなく「投資」だと私は考えています。質の高い税理士と組むことで、適切な節税・資金調達・経営判断が可能になり、長い目で見れば必ず元が取れます。契約前に「何が含まれていて、何が別料金なのか」を必ず書面で確認するクセをつけてください。
ポイント2:自社の業種・規模に合った「専門性」を確認する
税理士はみな同じように見えて、実は得意分野がまったく異なります。医療クリニックを多く手がけている税理士、IT・Web系のベンチャーに強い税理士、製造業や建設業を専門とする税理士——それぞれの業種には固有の税制や会計処理の知識が必要です。
業種が異なれば、節税の方法も違います。自社の業界を深く知っている税理士であれば、同業他社の事例を参考にしながら、より的確で具体的な提案をしてもらえる可能性が高まります。逆に、自社の業界に不慣れな税理士だと、「一般論しか言えない」「業種特有の節税策を見落とす」といった状況になりかねません。
確認すべき3つの観点
- 自社と同業・同規模の顧問実績があるか
- 現在の自社の成長フェーズ(創業期・成長期・安定期)に対応できる経験があるか
- 関連する法改正や税制改正の情報を常にキャッチアップしているか
初回面談のタイミングで「弊社と同じ業種の顧問先はいますか?」「その業種でどのような節税提案をされていますか?」と直接聞いてみるのがいちばんです。具体的な答えが返ってくる税理士は、それだけ現場経験があると考えていいでしょう。
また、弥生株式会社が提供している税理士紹介ナビなど、業種や地域を絞り込んで税理士を探せるサービスを活用するのも有効な手段です。
ポイント3:「レスポンスの速さ」とコミュニケーション能力で見極める
経営の現場では、「今すぐ判断が必要」という場面が頻繁に起きます。融資の申請タイミング、想定外の大きな支出、取引先からの急な条件変更——そういった局面で税理士に連絡しても、返信が3日後では意味がありません。
一般的に、24時間以内にレスポンスがある税理士が信頼の目安とされています。繁忙期(1〜3月の確定申告時期)はどうしても遅れることもありますが、それを加味しても「遅くて困った」が続くようなら、要注意です。
初回面談でチェックしたい5つのポイント
初回の無料面談は、税理士の実力と相性を見極める絶好の機会です。以下の点を意識して確認してみてください。
- 専門用語をかみ砕いて説明してくれるか
- こちらの質問に対して、具体的に答えてくれるか
- 実際に担当になるスタッフが誰か、教えてもらえるか
- 代表税理士とスタッフの社内教育・フォロー体制はどうなっているか
- 連絡手段(電話・メール・チャットなど)の対応方針は何か
特に「担当者は誰か」という点は見落としがちですが、重要です。初回面談では代表税理士が出てきて好印象だったのに、実際の担当は経験の浅いスタッフだった——というケースは業界あるあるです。契約前に「実際に対応してくれる方と一度お話しできますか?」とお願いしてみることをおすすめします。
ポイント4:「節税提案・融資支援」の積極性を確かめる
税理士に求めることは、確定申告や記帳の代行だけではありません。特に中小企業・個人事業主にとっては、「どうすれば合法的に税負担を減らせるか」「どのタイミングで融資を受けるべきか」といった相談に乗ってもらえるかどうかが、経営の命運を分けることすらあります。
「試算表」を毎月出してくれるかを確認する
試算表とは、毎月の収支をまとめた財務資料です。これが毎月提出されているかどうかは、税理士の積極性を測る一つの重要な指標です。
先ほどご紹介した「顧問税理士実態大調査2024」のデータでは、成長企業の約76%が3ヶ月に1回以上税理士と定期的に打ち合わせをしているのに対し、売上減少企業では約48%にとどまっています。また、成長企業では試算表を毎月提出してもらっている割合が高く、それをもとにアドバイスを受けている割合も顕著に高いことが分かっています。
試算表が毎月手元にあれば、「利益が出すぎている月に節税を打てる」「キャッシュが減り始めたタイミングで融資を考えられる」など、先手を打った経営判断が可能になります。逆に、試算表が決算前後にしか出てこない場合、打てる手が大幅に減ってしまいます。
税務調査の対応力と融資支援の姿勢も確認する
初回面談では、以下の2点を直接聞いてみることをおすすめします。
- 「税務調査の際は、私の側に立って対応してもらえますか?」
- 「融資・資金調達の相談にも対応していただけますか?」
この2問に対して、具体的かつ前向きな回答が返ってくる税理士は、経営者のパートナーとして頼れる可能性が高いです。「税務調査は税務署との交渉なので……」と言葉を濁したり、「融資は専門外です」と切り捨てたりするようなら、経営サポートの観点では限界があると考えておいた方がいいでしょう。
ポイント5:「クラウド会計・オンライン対応力」を確認する
最後のポイントは、やや現代的な視点です。
「税理士は近所で選ぶ時代は終わった」——これは私が経験則から強く感じていることです。クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワードクラウド・弥生会計オンラインなど)の普及により、データのリアルタイム共有・オンライン面談・チャットでのやり取りが当たり前になってきました。今は物理的に近い場所にいなくても、質の高い税務サービスが受けられる環境が整っています。
なぜクラウド会計対応が重要なのか
クラウド会計を活用することで得られるメリットは主に3つあります。
- 銀行口座・クレジットカードとの自動連携で記帳業務が大幅に効率化される
- リアルタイムで経営数値を税理士と共有でき、タイムリーなアドバイスが受けられる
- オンライン面談中心にすることで、訪問コストが削減され、顧問料を抑えられるケースもある
ただし、すべての税理士がクラウド会計に精通しているわけではありません。MM総研の調査(2025年3月時点)によると、クラウド会計ソフト国内シェアの状況は「弥生会計オンライン:55.4%、freee:24.0%、マネーフォワード:14.3%」となっており、これらのソフトに対応できる税理士かどうかは契約前に必ず確認が必要です。
オンライン対応税理士のメリットとデメリット
| 項目 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 面談 | 移動時間ゼロ・スキマ時間に相談可能 | 対面特有の空気感・信頼感が生まれにくい場合も |
| 費用 | 訪問なしで顧問料が抑えられることが多い | サービス範囲は事前に確認が必要 |
| 対応地域 | 全国どこでも税理士を選べる | 緊急時の現地対応が難しい |
| 情報共有 | リアルタイムでデータを確認・相談できる | ネット環境・ITリテラシーがある程度必要 |
地方にいても都市部の質の高い税理士を選べるのはオンライン対応の大きなメリットです。一方で「初めて会う税理士に大事なお金の話をするのが不安」という感覚もよく分かります。だからこそ、まずは無料の初回面談を積極的に活用して、複数の税理士と話してみることをおすすめします。
国税庁の公式ウェブサイト(国税庁 税理士をお探しの方)では、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトへの案内がされています。怪しい事業者(いわゆる「ニセ税理士」)を避けるためにも、信頼できる公式情報を参考にしながら選ぶようにしましょう。
まとめ
ここまで、税理士の選び方で失敗しないための5つのポイントをお伝えしてきました。最後に整理しておきます。
- 顧問料の安さだけで選ばず、費用対効果で考える
- 自社の業種・規模・成長フェーズに合った専門性を確認する
- レスポンスの速さとコミュニケーション能力で相性を見極める
- 節税提案・試算表の提出・融資支援の積極性を確かめる
- クラウド会計・オンライン対応力を確認し、エリアに縛られず選ぶ
税理士選びは「とりあえず」で決めていい話ではありません。一方で、「完璧な税理士を探さなければ」と構えすぎる必要もありません。まずは複数の税理士と無料面談を重ねて、「この人なら話しやすい」「うちの業種のことを分かってくれている」と感じられる人を探してみてください。
顧問料は「コスト」ではなく「投資」です。自社に合った税理士を選ぶことで、節税・資金繰り・経営判断のすべてが変わってきます。良いパートナーとの出会いが、会社の未来を変える。私はそれを現場で何度も実感してきました。ぜひこの記事を参考に、後悔のない税理士選びをしていただければ嬉しいです。