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社長の税理士選び研究所

税理士選びで会社のキャッシュは変わる。小規模法人オーナーのための、失敗しない税理士選び・切り替えの情報を発信する研究所です。

開業・会社設立時に税理士を選ぶポイントと注意点

「税理士なんて、どこも同じでしょ?」

開業前や会社設立の相談を受けるたびに、こういう言葉を聞くことがあります。正直に言います。これは大きな誤解です。

はじめまして。経営コンサルタントの三上 剛です。20年以上にわたり、年商3,000万〜1億円規模の中小企業・個人事業主を400社以上支援してきました。その現場でまざまざと感じてきたのは、「税理士の選び方ひとつで、会社のキャッシュが大きく変わる」という現実です。

実は私自身、起業初期に格安の税理士事務所と契約して痛い目を見た経験があります。会計処理にミスがあり、後から余計なコストが発生しました。「顧問料が安ければそれでいい」と思っていた自分の甘さを、今でも反省しています。

この記事では、開業・会社設立時に税理士を選ぶ際の具体的なポイントと、やってはいけない注意点を余すところなくお伝えします。税理士選びで失敗しないための情報を、現場目線でまとめましたので、ぜひ最後まで読んでください。

税理士への相談は「設立前」がベスト

税理士に相談するタイミングについて「会社を設立してから考えればいい」という方は少なくありません。しかし、できれば設立前に動くのが正解です。

会社設立には、後から簡単に変更できない重要事項がいくつもあります。具体的には、資本金の額、役員報酬、決算月の3つです。これらは税務上の影響が非常に大きく、設立後に「しまった」と思っても手遅れになるケースが多いのです。

資本金は「1,000万円未満」が基本

資本金を1,000万円以上に設定してしまうと、設立1期目から消費税の課税事業者となります。資本金が1,000万円未満であれば、原則として設立後2期分は消費税の納税が免除されます。これは国税庁も明確に定めているルールです(参考:国税庁「新規開業又は法人の新規設立のとき」)。

「信頼性を示すために資本金を多くしよう」という気持ちはわかります。ただ、1,000万円という数字は税務上の重要な境界線です。税理士に相談せずに資本金を決めると、数年分の消費税負担を余分に背負うことにもなりかねません。

決算月は「消費税の免税期間」を最大化するよう設計する

法人は決算月を自由に決められます。この自由度を活かして、消費税の免税期間を最長にする設計ができます。

たとえば、4月1日に設立するなら、決算月を翌年3月に設定すれば第1期が1年間となり、免税期間は最大で約2年間になります。逆に、設立月に近い月を決算月にしてしまうと、すぐに決算を迎えてしまい、免税期間が短くなってしまいます。

こうした設計は、税務知識なしに判断するのは難しい領域です。設立前に税理士に相談しておくだけで、こうした「知らなかったことによる損」を防げます。

役員報酬は原則として期中に増額できない

役員報酬を変更できるのは、事業年度開始から3ヶ月以内が原則です。それを超えて増額した場合、増額分は法人の経費(損金)として認められません。つまり、利益が出てから「役員報酬を上げて節税しよう」と考えても、タイミングを外すと意味がなくなってしまいます。

設立前から税理士に相談しておけば、こうした「後出しができないルール」を踏まえた上で、最初から適切な金額を設定することができます。

税理士に頼める仕事を整理する

「そもそも税理士に何を頼めるのか」を明確にしておくことが、税理士選びの第一歩です。期待値がずれたまま契約すると、「思っていたのと違った」というミスマッチが生まれやすくなります。

下表に税理士の主な業務をまとめました。

業務カテゴリ具体的な内容
税務申告法人税・消費税・所得税などの申告書の作成・提出
記帳代行日々の取引を帳簿に記録する作業の代行
決算業務決算書の作成、税務調整
税務相談節税対策・経費計上の判断・税務調査への対応
経営サポート資金繰り・融資・補助金・助成金のアドバイス
会社設立支援資本金・決算月・役員報酬の設計、関係士業との連携

月額の顧問契約では、これらのすべてが含まれるわけではありません。「節税の提案も含むのか」「税務調査の立ち会いは別料金か」といった点は、契約前に必ず確認しておきましょう。

開業・会社設立時に税理士を選ぶ5つのポイント

では、具体的にどう選べばいいのか。私がこれまでの支援経験で重視してきた5つのポイントを解説します。

ポイント① 業種・規模感の実績を確認する

税理士にも得意・不得意があります。飲食業に強い税理士、IT系スタートアップの支援が多い税理士、不動産や相続が専門の税理士など、事務所ごとに色があります。

自分の業種に似た顧問先を多く持っている税理士を選ぶと、業界特有の経費処理や節税ノウハウを活かしてもらいやすくなります。面談時に「同業種の顧問先はありますか?」と確認するのが効果的です。

ポイント② レスポンスの速さ

これは見落とされがちですが、非常に重要です。経営判断が必要な場面で「2週間後に回答します」では困ります。

試しに問い合わせフォームからメールを送り、返信までの時間を確認するのが簡単な方法です。初回対応が遅い税理士は、顧問契約後も同様のレスポンス感になる可能性が高いと考えてよいでしょう。

ポイント③ 料金体系が明確である

費用に関しては、月額顧問料だけで判断するのは危険です。「月額○万円〜」という表記に飛びついても、実際に請求書が来てみたら「これは追加料金です」という事態はよくあります。

確認すべき費用の内訳は以下のとおりです。

  • 月額顧問料(基本料金)
  • 決算申告料(通常は月額顧問料の4〜6ヶ月分が相場)
  • 記帳代行料(帳簿入力を依頼する場合)
  • 税務調査立ち会い料(顧問料に含まれるか別途か)
  • 給与計算・年末調整料(従業員がいる場合)

見積もり書は必ず書面でもらい、何が含まれていて何が別途なのかを明確にしておきましょう。

ポイント④ 節税提案を積極的にしてくれるか

税理士は「申告だけしてくれればいい」という存在ではありません。キャッシュを残すための節税提案をどれだけ積極的にしてくれるかが、顧問料の元が取れるかどうかを左右します。

面談時に「どんな節税提案をしてもらえますか?」と直接聞いてみてください。具体的な内容を答えられる税理士と、曖昧な回答しか返ってこない税理士では、明らかに差があります。

ポイント⑤ オンライン対応に対応しているか

かつては「税理士は近所で選ぶもの」という常識がありました。今はそれが大きく変わっています。

クラウド会計ソフトの普及により、データのやりとりはオンラインで完結するようになりました。面談もビデオ通話で問題なく行えます。オンライン対応の税理士であれば、地域を問わずに自分に合った専門家を選べます。都市部の優秀な税理士に地方から依頼することも、今では当たり前になっています。

ただし、税務調査が入った際の立ち会いなど、物理的な対応が必要な場面もゼロではありません。その点は事前に確認しておくと安心です。

顧問料の相場を知っておく

「相場を知らずに契約すると、高すぎても安すぎても気づかない」というのが私の実感です。まずは相場観を持っておくことが、適切な判断の土台になります。

法人の場合

年間売上高月額顧問料の目安
1,000万円以下1万〜3万円程度
1,000万〜3,000万円2万〜4万円程度
3,000万〜5,000万円3万〜5万円程度
5,000万円以上5万円〜

上記に加え、決算申告料として月額顧問料の4〜6ヶ月分が別途かかるのが一般的です。

個人事業主の場合

月額顧問契約であれば1万〜3万円程度、確定申告のみのスポット依頼であれば10万〜20万円程度が相場です。

なお、訪問頻度が高いほど、また従業員数が多いほど料金は上がります。最近はオンライン完結型の事務所が増えており、月額1万〜2万円台の低価格プランも増えています。

格安税理士の落とし穴

「月額顧問料1万円以下!」「業界最安値!」という謳い文句の税理士事務所を見かけることがあります。コストを抑えたい創業期に魅力的に映るのはわかります。しかし、安さには理由があります。

格安税理士を選んだことで起きやすい問題を整理しておきます。

  • 担当者が経験の浅いスタッフになりやすい
  • 個々の顧問先に割ける時間が少なく、会計処理のミスが起きやすい
  • 積極的な節税提案は期待しにくい
  • 追加業務(税務調査の立ち会い、経営相談など)は別途費用になることが多い
  • レスポンスが遅く、緊急の相談に対応してもらえないケースもある

私の支援先でも、「格安税理士に任せていたら税務調査で指摘を受け、その対応コストの方が高くついた」という事例を見てきました。「顧問料はコストではなく投資」という視点で考えることが大切です。

もちろん、格安税理士がすべて悪いわけではありません。取引件数が少なく、自社で記帳も行える体制が整っている場合は、必要最低限のサービスを低コストで受けることで十分なケースもあります。自社の状況に合わせて判断してください。

やってはいけない!3つの選び方NG

NG① 近所というだけで選ぶ

「事務所が近いから」という理由だけで税理士を選ぶのは、もはや通用しない時代です。前述の通り、オンライン対応が整っている現在、地理的な近さよりも「自分のビジネスに精通しているか」「レスポンスが速いか」といった実質的な要素を優先すべきです。

NG② 知人の紹介だけで決める

知人からの紹介は断りにくいという側面があります。「その人には合っていた税理士でも、自分には合わない」というケースは十分あります。紹介を受けた場合でも、必ず面談を行い、相性を自分の目で確認してから判断してください。

NG③ 面談なしで契約する

税理士との関係は数年にわたる長いお付き合いになります。「資料を送ったら見積もりが来たのでそのまま契約」というケースは避けましょう。必ず一度は面談(オンライン可)を行い、話しやすさ・考え方・具体的な提案内容を確認してください。

面談時に確認しておきたいチェックリスト

税理士と面談する前に、以下の質問を準備しておくと、事務所の実力と相性を見極めやすくなります。

  • 同業種・同規模の顧問先はいくつありますか?
  • 節税対策として、どんな提案をしてもらえますか?
  • 月額顧問料に含まれるサービスを具体的に教えてください
  • 税務調査の立ち会いは顧問料内ですか?別途費用ですか?
  • 普段のやりとりはどのような方法ですか?レスポンスの目安は?
  • 担当者は税理士本人ですか?それともスタッフですか?
  • クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)には対応していますか?
  • 創業融資・補助金・助成金のサポートはできますか?

この質問リストを持参して面談に臨むだけで、かなりの情報が得られます。複数の事務所を比較した上で判断することを強くおすすめします。

まとめ

開業・会社設立時の税理士選びは、その後の経営に直結する重要な判断です。この記事の内容を簡単に振り返りましょう。

  • 税理士への相談は「設立前」が正解。資本金・決算月・役員報酬は後から変えにくい
  • 税理士の業務範囲と料金体系を、契約前に書面で明確にする
  • 業種の実績・レスポンス・節税提案力・オンライン対応の4点で比較する
  • 顧問料の相場は月額1万〜5万円程度(規模・業務内容により変動)
  • 格安税理士は「安さの理由」を必ず確認してから判断する
  • 近所・知人紹介・面談なし、の3つは避ける
  • 面談時に質問リストを使って複数事務所を比較する

税理士選びに正解はひとつではありません。「自分の事業に伴走してくれる存在かどうか」を軸に、焦らず選んでください。

適切な税理士と出会えれば、顧問料は必ず元が取れます。まずは複数の事務所に相談してみることから始めましょう。何かご不明な点があれば、遠慮なく専門家に質問することが、経営者としての大切な一歩です。

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