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社長の税理士選び研究所

税理士選びで会社のキャッシュは変わる。小規模法人オーナーのための、失敗しない税理士選び・切り替えの情報を発信する研究所です。

税理士の変更手続きはどうやるの?ステップごとにわかりやすく解説

「税理士を変えたいけど、どこから手をつければいいかわからない」「変更の手続きって、そんなに大変なの?」——そんな声を、経営者の方からよく聞きます。

はじめまして。経営コンサルタントの三上 剛です。20年以上にわたり、年商3,000万〜1億円規模の中小企業を中心に400社以上の経営改善・財務体制の構築をサポートしてきました。その現場で、何度も目の当たりにしてきたのが「税理士の質が、会社のキャッシュを左右する」という現実です。

正直に言います。私自身も過去に格安税理士との契約で痛い目を見た経験があります。会計処理のミスが発覚し、余計なコストを払う羽目になりました。だからこそ、「変えるかどうか迷っている」という段階の方に、早めにしっかりとした情報を届けたいと思っています。

結論から言えば、税理士の変更はそれほど難しくありません。ただし、手順と順番を間違えると、経理業務に支障が出たり、引き継ぎ書類をスムーズにもらえなかったりと、余計な手間が生じます。この記事では、変更の流れをステップごとに整理し、実際にやるべきことを具体的にお伝えします。

税理士を変更すべき「サイン」を知っておこう

手続きの話に入る前に、まず「変えていいタイミングなのかどうか」を整理しておきましょう。

私がコンサルをしてきた経営者の方たちが、税理士変更を決断したきっかけは、大きく分けると以下のようなパターンに集約されます。

  • 試算表(月次決算書)が遅く、経営判断が後手に回ってしまっている
  • 節税や補助金・助成金についての提案がほとんどない
  • 連絡がメール・電話のみで、対応に1日以上かかることが常態化している
  • 決算のときしか会わない。年1回しか打ち合わせがない
  • 税務調査が入ったとき、税理士が会社の立場を積極的に守ってくれなかった
  • 料金を払い続けているわりに、アドバイスがほぼゼロ

どれか1つでも「そうだな」と思ったなら、変更を検討するサインです。「税理士を変えたい」という気持ちに、遠慮は不要です。

税理士の変更手続き:全体の流れ

変更の手順は、大きく次の7つのステップで進めます。

ステップやること
現在の契約書の内容を確認する
新しい税理士を探して候補を絞る
変更タイミングを決める
引き継ぎに必要な書類・データを集める(解約連絡の前に)
現在の税理士に解約を通知する
書類・データの返却を受ける
新しい税理士と正式に契約し、引き継ぎを完了させる

重要なのは、この順番を守ることです。特に「書類を先に集める→後から解約通知」という順番は、後でお伝えする理由から非常に重要です。順を追って詳しく解説します。

ステップ①:現在の契約書の内容を確認する

まず最初にやることは、現在の顧問税理士との契約書の確認です。特に見ておくべき点は以下の3つです。

  • 解約の予告期間(「2〜3ヶ月前までに通知が必要」などの記載がないか)
  • 違約金や精算ルールの有無
  • 契約の自動更新の条件

解約予告の期間は、多くの事務所が2〜3ヶ月前に通知すると定めています。これを無視して急に解約を申し出ると、トラブルになることがあります。まずは落ち着いて契約書を読み返してください。

なお、契約書を交わしていないケースや、紛失してしまっているケースもあります。その場合でも、いきなり解約を宣言するのではなく、まず税理士と話し合うことをおすすめします。

ステップ②:新しい税理士を探す

現税理士への連絡をする前に、次の税理士の目星をつけておくのが賢明です。解約してから探し始めると、「税理士不在の空白期間」が生まれてしまうリスクがあるからです。

新しい税理士を選ぶ際のポイント

新しい税理士を選ぶ際には、顧問料だけで判断しないことが最重要です。私がコンサルの現場で実感してきた、選定時のチェックポイントを整理しておきます。

  • 月次決算書を翌月10〜15日以内に提供してくれるか
  • 節税や補助金に関する提案を積極的にしてくれるか
  • クラウド会計(freee、マネーフォワードなど)に対応しているか
  • レスポンスが早い(原則24時間以内)か
  • 担当者が固定されていて、担当変更が少ない体制か
  • 税理士本人が対応してくれるか、それとも実務はスタッフか

また、業界・業種に精通した税理士を選ぶことも非常に重要です。飲食業・建設業・IT・医療など、業種によって税務の論点は大きく異なります。同業の顧問実績があるかどうかを確認しましょう。

顧問料の相場を把握しておく

「今の顧問料が高いのか安いのか、そもそもわからない」という経営者の方は意外と多いです。2025年時点の目安として、法人の顧問料の相場は以下の通りです。

年商規模月額顧問料の目安
1,000万円未満2万円〜
1,000万円〜5,000万円未満2〜3万円
5,000万円〜1億円未満3〜4万円
1億円〜5億円4〜6万円

これに加えて、決算申告料として月額顧問料の4〜6ヶ月分が別途かかるのが一般的です。また、記帳代行・給与計算・年末調整などを追加で依頼する場合は、さらに費用がかかります。

「相場より極端に安い税理士は要注意」というのが私の持論です。安さの裏には、対応の手薄さやオプション料金の加算という落とし穴があるケースが多い。税理士へのコストは「投資」と考え、費用対効果で判断してほしいと思います。

ステップ③:変更タイミングを決める

税理士の変更には、ベストなタイミングがあります。それは「法人税の申告が完了した直後」です。

大きな仕事が一段落しているため、引き継ぎもスムーズに進められますし、新しい税理士も期初から業務に入れるので準備期間を十分に確保できます。

逆に避けるべきタイミングは、決算の3ヶ月前から申告完了までの期間です。この時期はどの税理士事務所も繁忙期で、引き継ぎの時間が取れません。新しい税理士が十分な情報を持てないまま決算に臨むことになり、リスクが高まります。

なお、税務調査の対応中も変更は控えてください。調査の途中で担当が変わると、対応に支障が生じる可能性があります。

ステップ④:引き継ぎ書類・データを事前に収集する

ここは非常に重要なポイントです。解約の連絡をする前に、引き継ぎに必要な書類やデータを手元に揃えておくことを強くおすすめします。

解約を伝えた後、気分を害した税理士が書類の返却に非協力的になるケースが、実際に起きているからです。

引き継ぎに必要な主な書類

税理士を変更する際に新しい税理士に渡すべき書類・データは、大きく以下の3カテゴリーに分かれます。

決算・申告関連書類(最低3期分、できれば7期分)

  • 法人税申告書・消費税申告書
  • 決算書(貸借対照表・損益計算書・附属明細書)
  • 勘定科目内訳書
  • 税務署へ提出した届出書類の控え

会計データ・帳簿

  • 総勘定元帳(過去5〜7年分が望ましい)
  • 仕訳帳
  • 固定資産台帳
  • 会計ソフトのデータ(CSVエクスポートなど)
  • 請求書・領収書などの証票類

事業・法人に関する基本書類

  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 定款

クラウド会計(freee、マネーフォワード クラウドなど)を使用している場合は、新しい税理士に「閲覧権限」を付与するだけで、データのやり取りが不要になります。移行作業がシンプルになるため、この点は新旧の税理士に確認しておくと良いでしょう。

なお、紙の書類の所有権は会社にあります。返却を求めれば、税理士には応じる義務があります。一方、電子データについては法的な位置づけが異なるため、事前に顧問契約書の内容を確認しておくことが重要です。

ステップ⑤:現在の税理士に解約を通知する

書類の準備が整ったら、現在の税理士に解約の意向を伝えます。

伝え方のポイントは「円満に、かつ書面でも正式に残す」ことです。口頭で話をした後、必ずメールや書面でも通知し、記録を残しておきましょう。後になって「言った・言わない」のトラブルを防ぐためです。

解約理由を伝える際の一般的な例を挙げると、「知人が税理士事務所を開業するため、ご縁がありまして」「経営環境の変化に伴い、体制の見直しを進めており」など、感情的な摩擦を生みにくい表現が無難です。本音をそのままぶつけるのは、円滑な引き継ぎを妨げるリスクがあります。

感謝の言葉を添えながら、丁寧に伝えることが結果的に自社の利益につながります。

ステップ⑥:書類・データの返却を受ける

解約通知後、税理士から書類とデータの返却を受けます。契約終了日より前に、すべて手元に揃えることが大前提です。

返却が遅れていると感じたり、明らかに非協力的な態度を取られたりした場合は、担当の税理士が所属する税理士会に相談することもできます。

また、クラウドサービスのアクセス権限の削除も忘れずに行いましょう。元の税理士が会計データや財務情報にアクセスできる状態のまま放置することは、機密情報の管理上、問題があります。

ステップ⑦:新しい税理士と契約・引き継ぎを完了させる

書類が揃ったら、新しい税理士と正式に顧問契約を締結します。契約締結のタイミングは、前の税理士の業務終了日と空白が生まれないように調整することが重要です。

引き継ぎは、新しい税理士が主導してくれる場合が多いですが、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 使用する会計ソフトの確認(変更が必要な場合の移行方法も)
  • 月次面談の頻度・方法(訪問か、オンラインか)
  • 業務スコープの確認(何が顧問料に含まれ、何が別途請求か)
  • 担当者の確認(誰が窓口になるか)

新しい税理士との初期段階は、自社の事業内容・経営方針・過去の会計処理の慣行をしっかり伝えることが鍵になります。新しい税理士は、書類を見るだけではわからない肌感覚の部分を把握できていません。最初の打ち合わせに時間をかけることを惜しまないでください。

税理士変更でよくある失敗と回避策

最後に、現場でよく見かけた失敗パターンと対処法をまとめておきます。

よくある失敗回避策
解約通知後に書類返却を渋られた解約連絡の前に書類を収集しておく
決算直前に変更して申告に遅れが出た法人税申告完了直後のタイミングに変更する
税理士不在の空白期間ができた新旧の業務終了・開始日を事前に調整する
会計ソフトが引き継げず移行に手間がかかった事前に新税理士が対応するソフトを確認する
変更後に「やはり合わない」と感じた複数の税理士と面談し、相性を確認してから決める

これらの失敗の多くは、「計画なしに進めてしまったこと」が原因です。変更を決めたら、まずスケジュールを立て、落ち着いて一つひとつ対応していきましょう。

まとめ

税理士の変更手続きは、正しい順番で進めれば、それほど難しいものではありません。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • まず契約書を確認し、解約条件を把握する
  • 新しい税理士の候補を探してから、現在の税理士に連絡する
  • 変更タイミングは「法人税申告完了直後」が最適
  • 引き継ぎ書類は解約通知の前に収集しておく
  • 解約通知は書面でも残す。円満に進めることが最善
  • 新しい税理士とは、初期の情報共有を丁寧に行う

税理士を変えることは、決して「裏切り」でも「贅沢」でもありません。会社を守り、成長させるための正当な経営判断です。

「変えたほうがいいのかもしれない」と少しでも感じているなら、まずは新しい税理士への無料相談から動き始めてみることをおすすめします。多くの税理士事務所では初回相談を無料で受け付けています。それだけで、頭の中が整理されることも多いはずです。

一緒に、良い経営環境をつくっていきましょう。

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